読み方:しんてきがいしょうごすとれすしょうがい(ぴーてぃーえすでぃー)
PTSDとは
強烈なショック体験や深刻な怪我を負うような事故、性的暴力など、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験にさらされたことで生じる、特徴的なストレス症状群のこと。
災害、暴力、深刻な性被害、重度事故、戦闘、虐待などによるものが挙げられ、そのような出来事に他人が巻き込まれるのを目撃することや、家族や親しい者が巻き込まれたのを知ることもトラウマ体験となる。
さらに、災害救援者の体験もトラウマと成り得る。
症状
侵入症状:何度も悪夢をみたり、トラウマになるきっかけとなった記憶が突然蘇るなど。また思い出したときに気持ちが動揺し、感情失禁や怒りをあらわにすることも。身体生理的反応(動悸や発汗)を伴うこともある。これらの症状により周囲が理解に苦しむこともある。
回避症状:トラウマとなった出来事についてや、それに関連した人物、事物、状況や会話を回避する。否定的な認知や感覚が麻痺し興味や関心が失われる。そのため周囲から孤立した気分を感じ、幸福・愛情などがもてなくなる。
他の症状として、常に張り詰めたようにイライラする、無謀または自己破壊的行動、過剰な警戒心、ささいなことで驚く驚愕反応、集中困難、睡眠障害も生じることがある。
<薬物療法の適応となる症状>
- 眠れない
- 不安が強い
- うつ状態がある
- 自殺を考えている
主に使用される薬剤は、SSRIや抗うつ薬、抗不安薬、気分安定薬などを組み合わせて使用。
診断
上記の症状が1ヵ月以上持続し、それにより顕著な苦痛感や、社会生活や日常生活の機能に支障をきたしている場合に、医学的にPTSDと診断される。
治療
こころの傷を回復して、苦痛を軽減することが基本。
持続エクスポジャー療法トラウマとなった記憶をあえて呼び起こすきっかけに身を投じる治療法。
これにより、思い出しても危険はないことを学習していく。しかし、不安を強めるだけとなっていしまう可能性もあるため、必ず専門の治療者が行うことが大切。
考え方を変えて別の視点で物事を考えるよう導く認知療法や、眼球を動かして経験を思い出す「眼球運動脱感作療法」、数人のPTSD患者が悩みを語るグループ療法もある。