まなび
  • 公開日: 2019/11/22

早産や低出生体重児の原因にもなる絨毛膜羊膜炎(CAM)について学ぶ

絨毛膜羊膜炎(CAM)
読み方:じゅうもうまくようまくえん(きゃむ)

 

絨毛膜羊膜炎(CAM)とは

胎児付属物の卵膜(絨毛膜、羊膜)に細菌が上行感染することで起こる炎症疾患。発症してしまうと短時間で早産になり低出生体重児の出生原因ともなりやすい。

さらに、進行すると羊水感染、臍帯炎、胎児感染に至ることも。

原因

細菌性膣症が原因となるが、全ての細菌性膣症が絨毛膜羊膜炎に移行するわけではない。

診断

①不顕性絨毛膜羊膜炎の可能性

  1. 膣内pH>4.5
  2. 癌胎児性フィブロネクチン(上昇)
  3. 顆粒球エラスターゼ(上昇)
  4. 母体の発熱(38℃以上)

②臨床的(顕性)絨毛膜羊膜炎と診断

①に加えて、母体の発熱(38℃以上)と以下の中から1つ以上または発熱がなくとも以下を全て認められる。

  1. 母体の頻脈(≧100回/分)
  2. 膣分泌物や羊水の汚臭
  3. 母体のWBC≧15,000/μl
  4. 子宮の圧痛

検査

早い段階で治療を開始できるよう、早産マーカー(化学的早産マーカー、羊水検査、臨床的早産マーカー)が有用。

  1. 膣分泌物や頸管粘液採取:グルコース濃度(下降)、顆粒球数(増加)
  2. 羊水検査:羊水穿刺にて子宮内感染や胎児肺の成熟度を確認
  3. Gram染色:子宮内感染を確認
  4. 超音波検査:頸管の短縮の有無(24週で25mm未満)
  5. BTB試験紙:青色で前期破水の有無

治療

①不顕性絨毛膜羊膜炎の場合:治療によって進行を止め、早産予防や妊娠継続も可能。

  1. 抗菌薬投与:感染予防
  2. 子宮収縮抑制薬、副腎皮質ステロイド投与
  3. 体温、WBC、CRPに注意。

②顕性絨毛膜羊膜炎の場合:進行を止められない場合、早産に至る事が多い。

  1. ターミネーション(分娩誘発や帝王切開を検討する)

関連記事