いくつかの強迫性障害の事例をあげてきましたが、その中で行われていた森田療法(以下、森)と曝露反応妨害法(以下、曝)の共通点と違いを見てみましょう。
共通点
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- ・悪循環が症状を発展させている
- ・行動を治療的に扱う
- ・不安状況への直面化
相違点
- 【曝】不安は誤った学習・認知の結果
- 【森】不安は「よりよく生きたい」という生の欲望と表裏一体
- 【曝】治療目標は不安のコントロール
- 【森】治療目標は不安の受容
- 【曝】認知の修正方法は論理的、実証的
- 【森】認知の修正方法は身体的、体験的。体験による認知の跡付け。具体的事実から全体を積み上げる(ボトムアップ式)
- 【曝】不安軽減の過程は不安状況(症状)に直面化。具体的・段階的な課題設定
- 【森】生活の充実を図ることで不安とつきあう。症状の軽減に留まらず生き方を問う
簡単に言うと曝露反応妨害法って?
不潔恐怖の場合、汚い物にわざと触らせておいて、それなのに手を洗わせない。暴露というのは、症状の起こりやすい条件にわざわざさらすという意味。
その後は反応を妨害する、手を洗いたくなっても止めさせるという治療法。
じゃあ森田療法は?
森田療法は軽作業から始め、徐々に負荷を大きくし共同作業として料理や掃除などの家事、畑仕事、動物の世話を行う。
この時、畑に動物の糞があっても「水道は近くにないから畑作業を続ける。洗うのは病棟に戻ってから」という指示になる。
つまり不潔な物に触れてしまっても、手洗いを自然に食い止めている。作業を共にする他者の目もあり、畑から逃げ帰ってトイレへ行くというのが恥ずかしい。
結果的に暴露反応妨害法と似た仕組みになっている。畑仕事をするという当たり前、かつ自然の行動をする中で暴露反応妨害法と同じ事をやっているわけである。
そのため行動療法と森田療法は非常に似ている。