まなび
  • 公開日: 2019/10/4

放置しておくとガンに?子宮頸がんの前癌状態「子宮頸部異形成」とは

子宮頸部異形成
読み方:しきゅうけいぶいけいせい

 

子宮頸部異形成とは

子宮頸癌の前癌状態で、子宮頸部の上皮に異型細胞が認められる状態。

原因

最近の研究によりヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因の1つとして注目されている。喫煙などもリスク要因となっている。また細胞診で異形成の疑いがあっても、炎症が原因である場合も。

症状

症状はほとんどなく、自然に治ることがほとんど。不正性器出血(とくに性交時の出血)や帯下の増量をみることもある。

検査・診断

子宮がん検診で初めて発見されることが多く、30歳代、40歳代に多く発生。最近は20歳代での発生も多くなっている。

  1. ①子宮頸部の細胞診
    子宮頸部および頸管内を、ブラシまたはヘラなどでこすり検体を採取→ベセスダシステム(国際基準の報告様式)にのっとり、次の検査を決定。
  2. ②コルボスコピー
    コルポスコープ:膣拡大鏡にて子宮膣部を観察し、酢酸加工にて各種所見を顕著にする。
    組織検査は一瞬で終わり、それほど痛みもない。
  3. ③上記2点にて異常所見があれば頸部組織診
    狙い組織診:コルポスコープでみて異常のある部位を1~2mm程度切除して行なう病理組織検査

治療

異形成の程度が進行したり、なかなか治らない場合は治療対象となる。

  1. 子宮頸部円錐切除術:コールドナイフ法、レーザー法、LEEP法がある。いずれの方法も早産率が有意に増加する。
  2. レーザーで病変を蒸散させる:レイザー光線で病変部を分解・粉砕)

その他

異形成のすべてが癌に進行するわけではない。軽度異形成では50%程度が無治療で自然治癒する。

中等度、高度の異形成でも、がんに進行するのは10%程度。このため異形成と診断された場合、経過をみるのが一般的。

異形成に変化した後、さまざまな異常が積み重なってがんに変化していくといわれている。軽度異形成から、がんになるまでは5~10年と長い期間が必要。

検診も大事

ワクチンによる予防が推奨されている一方で重篤な副反応も報道されているが、海外ではワクチンにより異形成の数は減少してきているとの報告がある。

ウイルス以外に、喫煙など様々なリスク要因があるため定期的に子宮頸部がんの検診を受けることが必要。

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