• 公開日: 2014/1/6
  • 更新日: 2020/3/26

【連載】ナースに英語は必要かしら?

第5回 英語がもつ圧倒的な力

国際化の時代、看護師にも英語は必要でしょうか? 移住者や観光客が増えているから、というのはもちろん、実はそれ以上に、看護師に英語が必要なワケがあるのです。看護師と英語の深ーい関係を、英語教育の現状に触れながら、解き明かしていきます。


そもそも、なぜ英語なのか?

「日本人なのにどうして英語を勉強しなきゃいけないの?」

こうした子どもの素朴な疑問に答えるのはなかなか難しいものです。親であれば「あなたの将来のためでしょう!」と一言で片づけたくなるでしょう。

しかし、「どうして?」「ママはいいの?」など質問攻めが待ち受けます。英語嫌いの学生なら「英語ができれば、良い会社に就職できるという将来の保証はどこにもない!」と的を射た反論が返ってくるでしょう。

そもそも、なぜ私たちは英語を学ぶ必要があるのでしょうか? 数々の「英語を学ぶな」という核心をついた意見がありながら、なぜ日本は、第二言語の英語教育の再生と推進に力を注ぎ始めたのでしょうか? その答えを探るべく、英語のある力に注目していきたいと思います。

まずは、興味深いデータを紹介しましょう。

2012年、アメリカの経営学誌『Harvard BusinessReview』は、英語人口は17.5億人、うちネイティブ・スピーカーはたった3.9億人という統計を発表しました。

統計から言えることは、英語が他言語を追いやって世界の母国語になったのではなく、世界が英語を共通語として認め、身に付けているということです。 


歴史と今が作り上げた世界の共通語

英語が世界の共通語という地位を確立した背景には、英語だけが持つ圧倒的な「影響力」があります。

この影響力を過去と現在=歴史で見ていきましょう。

歴史的影響力とは、まさに大英帝国の植民地支配による英語圏拡大とアメリカの第二次世界大戦の勝利が挙げられます。そして、その後も軍事力、経済力で世界トップを走ったゆえの影響力といえるでしょう。

現代の影響力とは、まさに私たちが生きる情報化社会です。時代はすでに団塊の世代が生きた近代工業社会から、知識と情報が戦略資源となる情報化社会へ移り変わっています。

Apple、Microsoft、 Googleなど、情報の中核を担う創造性・革命性に満ちた企業の多くはアメリカが発祥の地であり、英語は世界の共通語として一気に浸透しました。

最近では、中国の経済的な勢いも確かにあります。13億人が中国語を母国語とし、母国語ランキングでは圧倒的首位に君臨します。

しかし、中国語がこれから英語に代わって世界の共通語たる地位を築くかというと、そこまでの影響力はないでしょう。前述したとおり、中国では、将来のため、金儲けのために彼らが必死で勉強するのは、やはり英語だからです。

「なぜ英語なのか?」それは、イギリスの大英帝国時代から軍事・経済のトップを走るアメリカに引き継がれ、現在の情報化社会で圧倒的影響力をもつ唯一無二の言語であるからです。そして、この影響力は今後も続き、世界をつなぐ言語として、英語人口は、ますます拡大することが予想されます。 

次回は、世界をつなぐ言語の可能性についてです。

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