今月は、「職場のイベントは、仕事のうち」と、「突撃! ナースの里帰り⑧」をお送りします。
職員旅行、スポーツ大会、花見など、みなさまの職場では各種イベントが折々に開催されていることでしょう。
最近では、「楽しくない」「休息にならない」「その分の時間やお金を友達との遊びなど自由に使いたい」といった意見があり、参加しない権利も尊重され、不参加者には事業者側の費用負担分を別の形で支給したりなどの柔軟な対応をしている施設も少なくないようですね。
「参加するより自由に過ごしたい」という気持ちはわかります。
たとえば一泊の職員旅行に参加したなら、
- 職場が一緒というだけの知らない人と貸切バスで隣になり、手のひらに受け取った自家製漬物を食べて「おいしい!」とがんばって声をあげたり、調子を合わせて笑う。知らないなら、いっそのことまったく知らない人のほうが気が楽だと思う。
- 興味のないお土産売り場をぐるぐる回るしか、することがない。
- 浴衣のはだけた酔っ払いのいる宴会で中座できない。
- 部屋割りで同室になった女性たちに、生い立ちや住まいのことなど根掘り葉掘り聞かれる。
- やりたくない絵皿の絵付けをやらなければならない。
なんてこともあって、わずらわしい場合がありますからね。
ただ、さまざまなわずらわしさは、年を重ねる、組織に属さない、など状況が変わると、逆におもしろくそして味わい深く楽しくて、とても貴重な機会だと思えてきたりするわけですが・・・
今回、私がここで声を大にしていいたいのは、職場のイベントを「業務ではないけれど仕事である」ととらえて、積極的に参加してみてほしいということです。
看護職は、これまで以上に連携力が求められる時代になっていくことでしょう。他職種と上手に委託しあうのも要点になってきますね。その力をつけるための格好の機会が、職場のイベントです。
同じ職場の職員、つまり同僚であるという大前提があるので、さまざまな職種・キャリアの人たちと容易に接することができるわけです。ネットワークを作るうえで非常に恵まれた環境といえます。
一方、私のように組織に属さないフリーランスの場合は、いろんな職種の方と会って話をしたいと思うとき、多くの手続きを踏まなければ実現はできません。また、飲食しながら会うのなら、それにまつわる費用のことや、話すテーマの検討などなどの準備が必要であることが多く、ハードルが高いです。
ですから、私はもう30年も前にほんの一時期勤務した病院で知り合ったみなさまとの極細の関係をたどって、意見をうかがったりすることもあります。
いきなり知り合いになることを意識せずに、自然な流れで話したり、話さなくても顔を知る、というふうにいわゆる「顔つなぎ」ができる好機なのです。
参加することでマイナスになることは一つもありません。たとえ、その後その職場を去ることになっても、できた関係は生かすことができることが多いです。
そもそも職場のイベントは個人的に楽しんだり休息を得たりすることがメインの目的ではありません。
次のサイトに掲載されている「2014年 社内イベント・社員旅行に関する調査」の結果概要(2)「社内イベントの実施目的」をご覧ください。
回答結果の中に「楽しむ」「休息」という言葉はどこにもありません。そう、職場のイベントは仕事のうちなのです。
スキルアップ、社会勉強のための仕事の一つなのだと考えて臨むと、以前にはわずらわしく感じていた点でさえ、学習の好機ととらえることができ、そうすると意外にもたのしめたりすると思うのです。参加しない人を一歩リードすることにもなるでしょう。
突撃! ナースの里帰り⑧
お盆・正月、あるいはゴールデンウィークといった予定したタイミングではなく、急遽帰省する場合もありますね。
家族が体調を崩したとか、親戚に不幸があったなど、動揺や不安を胸に取り急ぎ移動するような形が多いかもしれません。
私にも、そんな経験があります。都内の病院に看護師として勤務していた遠いむかしに、祖母の死を報せる電話が職場の病棟に入ったことがありました。
その日の私は日勤で、上司は午後を休みにしてくれて、急遽実家に帰ることになりました。
昼になり病棟をあとにするとき、いつもやさしく接してくれているT先輩が、にわかにとても厳しい表情になって、新人の私に言いました。
「しゃきっとしなさい! 電車で帰るんでしょ。家に着くまでは泣いてはだめだよ。電車に乗ってるとき、身体に力を入れて座ってなさい。わかった?」
動揺を隠せないでいる私を心配しているようでした。
身体に力入れてろだなんて、ほとんど子ども扱いですが、私は言うとおりにしたのでした。
電車中で泣きくずれることはなく帰宅できたのはT先輩のお蔭だと思っています。
急遽帰省する人のなかで、とくに注意が必要なのは、自動車を運転して帰るケースだと思います。夜勤の明けのまま運転して帰るとか、帰省してあわただしく過ごし、そのまま勤務のためにとって返す人などもいるかもしれません。
帰省のアンケートの回答では、回答者全体の6.6割が帰省に自動車を使っているようです。急遽帰省するときには、くれぐれも気をつけてほしいと思います。運転時の交通安全のポイントがネットなどにもたくさん掲載されていますが、すでにわかっていることでも、改めて読むとなるほどと意識することができます。
イラストでは、自動車で帰省する際に谷に落ちそうになってヒヤッとした経験があるというMさんをご紹介します。
いかがでしたか? 来月号もお楽しみに!