2015年1月25日(日)に 『ナース専科』とNPO法人キャンサーネットジャパンは、がん患者さんに役立つ漢方薬に関するセミナーを共催しました。
ここでは、漢方を通してがん患者さんの“困った”を解決するために「看護師に期待すること・できること」について、セミナーの講師を務めた医師・がん看護専門看護師からのメッセージを紹介します。
“できること”に注目を!
がんの治療やがんの進行による苦痛や不快な症状を訴える患者さんに、看護師として培った知識や経験を活かして、何とか対処したいと考える人も少なくないでしょう。
苦しむ患者さんを目の前にしても、何ができるのかわからずに悩むこともありますが、看護師にできることはいろいろあります。
例えば、患者さんの状態を“看る”ことは看護師も自由にできます。ひとつの症状に注目するのではなく、“全身を診る”という漢方医学の考え方は、看護における“看る”につながる多くのヒントがあるかもしれません。
患者さんに役立つ看護の実践のために、漢方の知識を身に付けたいと考えるのであれば、とにかく勉強あるのみ!
雑誌や書籍に加えて、サイトでも文献や資料を見られる時代です。知識を身に付ける手段はいくらでもあります。今回のセミナーに参加した人は、一歩前進したと言えるかもしれませんね。
また、臨床ではがん患者さんのみならず、皮膚症状や便秘など、さまざまな症状と向き合う患者さんもたくさんいます。漢方の適応が明確になることで、そういった患者さんへ対応する手立てが一つでも増えることを願っています。
こんなときに漢方が役立った!事例をご紹介
口内炎→半夏瀉心湯
胃がんの肝、リンパ節再発でCDDP+S1による化学療法を導入した70歳の男性患者さん。2コース目から吐き気、食欲不振など消化器症状が認められるようになり、3コース目に入ると、患者さんから「口の中がしみて痛い。熱いものも、冷たいものもどちらもダメ」と訴えがありました。
ハチアズレ咳嗽を試しましたが、あまり効果がみられず、臨床試験の結果も考慮して半夏瀉心湯の内服・咳嗽を追加しました。そうしたところ、4~5日後に効果を実感でき、4コース目からは症状が出そうになった段階から服用を開始。口の中がしみなくなったようで、経口摂取の恐怖から解放された感じが見てとれました。
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