「ごんぎつね」
作者
新美南吉
オススメポイント・エピソード
このお話はどの小学校の低学年で出てきますが、新美南吉の作品は大人にも通ずるものがあると思う。
このお話の中で、川で漁をしていた兵十が、まだ幼い子ぎつねのごんが漁のしていた、いたずらで魚を
逃がしてしまう。彼岸花が咲く頃兵十の母親に亡くなってしまう。参列を見たごんは、自分ながらにも
その漁の魚で、母親に食べさせる魚の漁だと知ったとき、ごんの心の中に後悔の念が湧くのである。
それからのごんは、その日から兵十の家の前に木の実や魚を玄関に置くことになるのだが、それを不審
に思った兵十は、いたずらばかりしているごんに向かって火縄銃でごんを撃ってしまう。
あとで兵十がごんのせめてもの罪滅ぼしをごんなりにしていたという流れになりのであるが、半分は自業自得の面も
見られるが、私たち大人がこの物語を改めて読んでみると、自分勝手好き放題に生きて来て、人の不幸を
喜んでみたり、ざまぁみろと思うことでそれを楽しんでいる人も数多くいる。
被害者意識から見れば、人
の命をその事によって当然のように思われるが、加害者にとってみればすごく重い事を後悔の念が出て来る。罪滅ぼしをしてもなかなか解りかねるごんの気持ちはさぞや大きかったと思う。
その誤った行為のせめてもの誠意で一生懸命に償うごんは、兵十にはいたずらに人としての心と憎しみに後悔をするのであるが、このごんは新美南吉の少年時代の事とも言われている。子供たちの心の中にただかわいそうと言う考えではなくて、その中身について良く考えて欲しいと思う、そんなお話でもう一度、新美南吉のお話を大人の我々も読んでみたいと思う。