【母性】Aさん(32歳、経産婦)は、身長160cmで、非妊時体重は52kgであった。妊娠33週2日の妊婦健康診査では、体重59kg、血圧110/76mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、浮腫+、子宮底長は28cmである。胎児心拍の最良聴取部位は左臍棘線中央にあり、「最近、動くとおなかが頻繁に張ります。便秘がひどくなっているせいかもしれません」と言う。2時間後にAさんは、2,650gの児を娩出した。児のアプガースコアは1分後、5分後ともに9点であり、羊水混濁はなかった。出生3時間後の児の状態は、体温36.8℃、心拍数145/分、呼吸数65/分で、四肢に軽度のチアノーゼがみられる。
児の状態で考えられるのはどれか。
1.無呼吸発作
2.呼吸窮迫症候群(RDS)
3.胎便吸引症候群(MAS)
4.新生児一過性多呼吸(TTN)
―――以下解答―――
(解答)4
<解説>
1.(×)児の呼吸数は65/分で無呼吸発作はない。
2.(×)呼吸窮迫症候群は、32週未満で出生した児に起こりやすい呼吸障害で、陥没呼吸や顔面のチアノーゼなどがみられる。肺胞を膨らませるサーファクタントの不足が原因である。
3.(×)羊水は混濁していなかったことから、胎便を吸引して呼吸困難に陥ることは考えにくい。
4.(○)胎児の頃に肺の中にあった羊水が、出生後も数時間は残っているために、一時的に呼吸数が早くなる状態をいう。経過観察で軽快する。