【老年】Aさん(74歳、男性)は、強い下腹部痛のため救急車で搬入された。Aさんは顔面蒼白で、冷汗をかき、腹部を押さえている。一緒に来た妻は、「夫はいつも尿が出にくい。夜は、3回はトイレに行くのに、昨夜は行かなかった。今朝もポタポタとしか出なかった。便秘はしていない」と話した。Aさんは4年前に脳梗塞になり、重い構音障害があるが理解力に問題はなく、身の回りのことは全部自分でできている。搬入時のAさんは、看護師と視線を合わせることができ、問いかけにはうなずきで答えている。
Aさんに直ちに行うべき処置はどれか。
導尿
摘便
膀胱瘻の造設
利尿薬の投与
―――以下解答―――
(解答)1
<解説>
1.(○)「普段から尿が出にくいにも関わらず、昨夜は排尿していない」ことから、尿閉が考えられる。ただちに導尿を行う必要がある。
2.(×)「便秘はしていない」という情報から、摘便の必要はない。
3.(×)膀胱瘻は、膀胱留置カテーテルを用いても排尿機能が維持できない場合に適用される。現段階でAさんに行う処置ではない。
4.(×)「尿が作られにくい」場合に利尿剤を投与するが、Aさんの問題は「尿が出にくい」ことにある。