【成人】60歳の男性。会社役員。10年前にC型肝炎と診断され通院治療を続けている。1ヶ月前の定期受診で肝細胞癌を指摘されTAE〈肝動脈塞線療法〉を受けることとなった。治療前の血液検査ではアルブミン2.8g/dl、AST〈GOT〉123IU/l、ALT〈GPT〉130IU/l、プロトロンビン活性〈PT%〉58%(基準80~120)であった。
TAE後に起こりうることは何か。2つ選べ。
1.プロトロンビン活性が改善する。
2.血栓が発生する危険性がある。
3.止血しづらい可能性がある。
4.蛋白質合成機能が改善する。
5.ALT値が改善する。
―――以下解答―――
(解答)2.3
<解説>
1.(×)正常値より低いプロトロンビン値は、TAE後はさらに下がる可能性が高い。
2.(○)動脈内に造影剤、抗癌剤、塞栓物質を注入するため、その塞栓剤は血管内で溶けるのですが、血栓の危険性は高くなる。穿刺部の圧迫の合併症として、下肢虚血や大腿静脈の長時間圧迫により、下肢うっ血から血栓が形成できる可能性がある。
3.(○)プロトロンビン値が低いということで、止血が困難なことが予測される。
4.(×)アルブミンが低値であることから、TAE後にさらに蛋白合成機能は改善できない。
5.(×)通常でも一過性に肝機能悪化がみられることから、TAE前からALT高値であるため、さらに上昇する可能性が高い。通常は、治療後7~10日程度で、治療前の数値に回復することはある。