日本人の平均寿命は世界トップ!
先ごろ、日本人の平均寿命を示す「簡易生命表」が厚生労働省から発表されました。
これによると、男性の平均寿命は過去最高の80.21歳で世界4位、女性は86.61歳で2年連続の世界1位。これは、がんや心疾患、脳血管疾患、肺炎などによる死亡が改善されたためです。
また、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成24年1月推計)では、平成25年から平成34年にかけて、平均寿命のさらなる延びとともに、不健康な期間も延びる、と予想されています。※1
※1
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」P.25-27
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf
寿命が延びるのは喜ばしいことですが、大事なのは、「平均寿命」と「健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)」の差、つまり、「健康でない期間」が限りなく短くなることではないでしょうか。
高齢者を支える家族にも看護の視点を当てよう
平成22年の調査研究によると、「不健康な期間」とされる平均寿命と健康寿命の差は、男性が9.13年、女性は12.68年となっています(下図)。
図 平均寿命と健康寿命の差※1
私が一緒に暮らしている85歳の母親をみても、気持ちは元気でもいくつかの持病を抱えているため、病院通いが欠かせません。
特に、変形性膝関節症が悪化して歩行に不自由を感じている最近は、受診に家族の付き添いが必要です。歯科、内科、消化器外科、整形外科、眼科と月に4~5回は病医院に通っています。
親の生活をサポートすることを嫌だとは思いませんが、それに伴う物理的な忙しさ、母と娘の気安さから生じる感情のぶつかり合いはストレスを生みます。
先日の受診付き添いの際、長い待ち時間に疲れ切っていた私に、あるナースが耳打ちしてくれました。
「検査室へのご案内は私がしますよ。検査が終わるまで20分ほど時間があります。それまでにここに戻ってきていただければ、別の場所で少しリフレッシュしていただいても大丈夫ですよ」
この一言で、私はほっと気持ちがほぐれるのを感じ、「これこそ家族看護※2では?」と思ったものです。
平均寿命が延びている現在、健康寿命を伸ばすことと同時に、ナースは家族看護の視点を常に持ちながら高齢者およびその家族と接することが求められているのではないでしょうか。
※2
家族看護:家族を患者に対する看護の協力者としてみることと同時に、家族も患者と同様の看護援助の対象にしようという考え。