海外の医療に興味があっても、実際に海外を訪れ、医療現場に触れることは容易ではありません。そこで、カリフォルニア州サンディエゴ市最大のERを持つSan Diego Kaiser Permanente病院(ベッド数392床、ERベッド数100床、年間のER患者数約98,000人、手術件数25,000件という大規模病院)での自身の経験と調査をもとに、アメリカにおける最新の病院事情をまとめました。
アメリカの病院は明るくて楽しい!?
今回は、Short Story(こぼれ話)をご紹介します。
どこの国もそうですが、病院はとにかく忙しいところです。病院の廊下は、医療者や患者さんであふれ、病室は看護師をはじめ医療従事者がひっきりなしに訪れます。いくら人が多くてもディズニーランドのような明るく楽しい場所とは程遠いのが、病院というイメージではないでしょうか?
「明るい」と言えば、アメリカには“Don’t Worry, Be Happy”の代名詞とも言える人が大勢います。
医療従事者も、とにかく明るく、よく話します。こちらが心配してしまうほど、立ち止まって話しこみ、笑顔で去っていくのです。
病院実習中、底抜けに明るい人たちと大笑いする場面は多々あったのですが、中でも声を上げて笑ってしまったエピソードをここで紹介します。
<!–readmore–>
ある日常の一コマから
見た目はイケメンで紳士的な呼吸療法士さんのはなしです。
ある日、彼は患者さんに吸入器の説明をしにやって来ました。自己紹介をして吸入器を取り出すなり、突然、ラジオ体操とヒップホップをミックスしたようなダイナミックな動きで、吸入器の説明を始めたのです。これには、患者さん、家族、隣の患者さん、通りがかった看護師さんも驚きと爆笑の嵐に。彼は説明を終え、みんなから拍手喝采を浴び去って行きました。
実習先の病院も忙しく、明るく楽しい場所とは程遠い。しかし、一般的な日本の病院の概念を払拭する何かがありました。
日本の病院に比べて、アメリカの病院に“明るい”印象をもったのは、おおらかで陽気な笑顔・雰囲気、そして豊かなユーモアにあふれる医療従事者の人間性によるものなのかもしれません。
誠実で真面目な日本人も、たまにはアメリカ人のようなユーモアで患者さんを笑顔にできたらいいですよね。
次回は、「病室のはなし」です。