みなさんは、海外の看護師事情を覗いてみたいと思ったことはありませんか? 日本と海外の看護の違いに興味がある、海外で活躍する看護師をめざしたいという人は少なくないようです。そこで、自身の経験と調査をもとに、アメリカの医療や看護師に関するトピックをお伝えします!
日本の新人教育を外国からみてみると……?
今回は、新人教育についてのおはなしです。
日本では、新人看護師をどのように育てるか、多くの病院で検討され、熱心に教育が行われています。新人看護師がおくる1年は、長期的なキャリアの土台となるとされ、特に重視されているからです。
そこで今回は、日本の新人教育に注目し、アメリカと比較してみました。
実はスゴイ! 日本が誇れる「新人教育」
みなさんは、新人看護師が1年間、プリセプターシップや集合教育を受けることは当たり前のことと思っていませんか?
しかし、これだけ手厚い新人教育プログラムを持つ国は、先進国でも多くはありません。
アメリカの新人教育を例に挙げると、
- 看護助手として数カ月間、病院のシステムや病棟に慣れることを目的に働くケースがある。
- 新人教育は、6~12週が一般的。
- 新人教育の期間は、州や病院の規模、配属先によって大きく異なる。
知識や経験を重要視するアメリカでは、時間やお金のかかる新人教育を必要とする新人看護師よりも、即戦力となる経験のある看護師を就職で優遇する傾向があります。
そのため、新人看護師はボランティアや無償のインターンシッププログラムに参加し、経験を積んでから就職に挑むこともしばしばです。
自身の経験から言うと、アメリカの経営者は、とにかく“効率”を優先するように思います。そして、労働者はキャリアアップや給与が高いところがあれば躊躇なく辞めていきます。そうした社会では、「教育をして育てる」ことは非効率とみなされるのかもしれません。
一方、日本では、新人一括採用があり、1年間の新人教育が保障されています。こうした日本特有の採用方法も、入職後に新人をゆっくり育てていこうとする恵まれた環境をつくる1つの要因になっているのかもしれませんね。
新人看護師の皆さん、仕事であれ学校であれ、なんでも1年目というのは身体的にも精神的にも慣れるまでは苦労すると思います。しかし、次の2つのことをぜひ心に留めておいてください。
- 自分たちが世界的にみても恵まれた環境で新人教育が受けられていること。
- ひとりひとりが、これから世界に誇る日本の看護を継承する重要な人材であるからこそ手厚い新人教育が受けられていること。
私たち先輩看護師は期待しています。 がんばってください。
次回は、「看護教育(継続教育)」のおはなしです。