コラム
  • 公開日: 2022/1/5

【連載】知っておきたい お金のはなし

新人の看護師に保険は必要?最低限備えておきたい保険を解説!

「私まだ若いし、独身で養う家族もいない。まだ保険は必要ない気がしているけど、それでも入るべき?」
看護師はさまざまな病気やケガ、時には死と向き合うのが日常なのです。
保険についてぜひ入職する機会に考えましょう。

 

 

FPである筆者は、新人の看護師さんにも保険の加入をおすすめしています。なぜなら「看護師だからこそ入るべき保険」と「新人看護師から入るべき保険」があるからです。それぞれわかりやすく解説していきますので、保険について悩んでいる人は参考にしてみてください。




 

看護師に必要な保険にはおもに2種類

看護師に必要な保険は、おもに以下の2種類です。

・看護師向けの損害賠償責任保険
・医療保険など民間の保険

看護師向けの賠償責任保険とは、医療訴訟や損害請求リスクに備える保険です。職場で加入保険が用意されていて、自然に加入している看護師さんもいるでしょう。

もう一つの民間の保険とは、保険会社が販売している生命保険や医療保険などの保険商品のことです。

どちらも新人看護師さんであれば、ぜひ考えてほしい保険です。
それぞれ次項で詳しく解説していきましょう。

看護師向けの損害賠償責任保険の必要性

看護師向けの損害賠償責任保険とは、看護師さんの医療事故に備える保険です。

専門職である看護師の業務には、さまざまな医療事故のリスクが付きまといますよね。投与する薬剤を間違えてしまったり、入院患者さんをベッドへ運ぶ際に患者さんが暴れて手を離してしまい、ケガをさせてしまったり・・・。特に就職したてであれば、慣れない看護業務に四苦八苦することが多いはずです。日々の緊張感の中で夜勤の疲れも蓄積していけば、ミスしてしまう可能性はゼロではありません。

万が一誤った処置やうっかりミスで医療事故を起こしてしまえば、損害賠償請求や訴訟を起こされることもあるのが看護師です。そんなとき損害賠償責任保険に加入していれば、このような法的責任に応じた保険金を受け取れます。加入しておくことで万が一の大きな支払いにも対処できるため、精神的な安心感も大きいです。まだ経験の浅い20代のうちから、できる限り加入しておくことをおすすめします。

 

看護師向けの損害賠償責任保険の選択肢


看護師向けの損害賠償責任保険は、看護師さんによって以下のような選択肢があります。

・勤務先の病院やクリニックが看護職向けの損害賠償責任保険に加入してくれている
・勤務先で任意加入できる保険があり、個人で加入している
・勤務先に保険制度がなく、個別で探した保険に加入している
・何も加入していない

正職員であれば、勤務先で「医療従事者包括契約」によって何かしらの損害賠償責任保険に加入してくれているケースがあります。この場合は個人で加入しても補償が二重になってしまうため、気をつけてください。

まずは自身がどのような保険に入っているのか、補償内容とあわせてよく確認することが大切です。

特に確認していただきたいのが、派遣やフリーランスで働く看護師さんです。非正規雇用の看護師さんの場合は、勤務先での契約がない可能性もあります。自分の就業環境ではどのような保険制度を利用できるのか確認し、必要な補償を備えるようにしてください。

 

新人・独身の看護師におすすめの民間保険

20代独身の看護師さんには、以下の民間保険の加入も考えることをおすすめします。

・終身型の生命保険
・掛け捨て型の医療保険

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

終身型の生命保険


終身型の生命保険とは、保障が一生涯続く生命保険です。
一定の期間契約すれば解約時にまとまった返戻金を受け取れるため、貯蓄型の保険と言われることもあります。

20代の場合は「独身なのに生命保険?」「養う家族もいないけど・・・」と思うかもしれません。
しかし生命保険は、家族のためだけに加入するものではありません。若いうちは自分の将来のために、結婚や出産時には子どものために、老後はまた自分のためにと、ライフステージにあわせて柔軟に保障を備えられるのが終身型の生命保険です。

終身型の生命保険は、若いうちから加入しておけば貯蓄代わりになります。結婚後は配偶者や子どものための保障として持つことができますし、ある程度の期間で解約すれば解約返戻金を子どもの教育費にあてることも可能です。長く持ち続けていけば解約返戻金の返戻率も高まるため、老後資金として使うこともできるでしょう。

若い間は保険料も比較的安いです。将来の選択肢を広げるため、生命保険の加入も検討してみてください。

 

掛け捨て型の医療保険


掛け捨て型の医療保険とは、病気やケガによる入院・手術を保障する保険です。
保険料は掛け捨てなので、解約返戻金はありません。

「20代は健康リスクが低いのでは」「家計に余裕がないのに保険なんて・・・」と思う人もいるでしょう。しかし、保険とは本来貯蓄がなく家計に余裕がない人のための備えです。特に一人暮らしの看護師さんは、一人で家計を支えなければなりませんよね。医療保険は治療費だけではなく生活費の補填にも使えるため、一人暮らしで貯蓄も少ない若い新人看護師さんにこそ備えていただきたいと思うのです。また女性の場合は、将来的に妊娠したときの異常分娩にも対応しているので安心です。

医療保険には終身型と掛け捨て型があり、そのうち掛け捨て型をおすすめするのは「医療は日々発展しているから」です。20代で終身型の医療保険に加入しても、その保険内容が50歳・60歳になってからも通用するかわかりません。日本の医療は日進月歩です。20代・30代の間は掛け捨て型の保険で、保険料が上がりやすい40代ごろに終身型の医療保険に見直すほうが、その都度最新の医療状況に対応した保険を備えられるのではないでしょうか。

とはいえ、年齢が上がればその分保険料は上がってしまいます。
もし病気やケガをすれば保険そのものへの加入が難しくなることもあるため、若い間に終身型の医療保険に入っておくのも一つの選択肢です。ただし掛け捨て型と終身型では、どうしても終身型の医療保険のほうが保険料は高くなりやすいです。

看護師さんは他にも考えるべき保険があり、保険料の負担が家計を圧迫してしまうのは避けたいところですよね。家計の状況を見ながら、無理のない範囲で加入できる医療保険を考えてみてください。

 

新人でも保険は検討するべき、何が必要か今から考えよう

新人でまだ20代、さらに独身の場合、「まだ若いし健康だし、養う家族もいないから保険は必要ない」と思いがちです。

しかし保険とは、不測の事態に付随して発生する大きな支払いに備えるもの。若くて貯蓄が少ないからこそ、入っておくべきではないでしょうか。

経験が浅い20代は医療事故のリスクも高くなりやすいですし、医療保険や生命保険は若いほうがより良い条件で加入できます。少しでも不安がある人は、看護師向けの損害賠償責任保険や民間保険を考えてみてください。

保険について「誰かに相談したい」と思ったら、保険の専門家であるFPへ相談してみるといいでしょう。FPとは、人生のさまざまなライフステージで必要になるお金の専門家です。人生のさまざまなリスクによって生じる支出を保険でリスクヘッジする方法にも詳しいため、将来の貯蓄の不安とあわせた保険相談ができるでしょう。

もちろん、「相談=強制的に加入が必要」なんてことはありません。相談の末に、保険はやっぱり不要と感じる人もいるでしょう。結局のところ、必要性は人それぞれの状況によって異なります。 個別の状況に応じて相談できるFPに聞いてみて、自分に必要な保険を考えてみてください。


 

 

 

 

この記事を書いたのは

服部 椿
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士



記事監修:株式会社ファーストプレイス



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Twitter:https://twitter.com/tete_ponyo



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