編集部セレクション
  • 公開日: 2021/4/7

「熱には絶対クーリング!」エビデンス無視のケアが…

「ラウンジ☆セレクト」は「ラウンジ」で盛り上がった話題と、そこに寄せられたみなさんのご意見を紹介しています。

 今回のトピック 
誤嚥性肺炎既往がある人が、痰絡み。怪しく思って吸引すると大量の黄緑色の痰。あまり身体は熱くないけど体温38℃。
シバリングはないけれど、発熱し始めは温めようと、温めました。セットポイントまで上がれば汗をかいたり、身体の表面が赤く熱くなるから、そしたら冷やしてあげよう。と。
そしたら、なぜ温めるの?冷やすものでしょう!と全力で、咎められました。

例えば、敗血症の発熱は38℃前後でコントロールする方が生命予後がいいと、論文にありますし。とも説明。
いろいろ説明したのですが、『本なんてあてにならない!経験でやるもの!クーリングしないで患者家族に「何もしてない」って言われたら説明できるの?』と言われました。

まさしく同じ日、誤嚥性肺炎既往がある人が発熱、spo2 60台、血圧も80以下へ。
私は温めて、発汗始めてからひやして解熱、血圧も90台、spo2も99へ。医師には「奇跡の復活だね!温め、クーリングうんうん!」とほめられたばかり。

私、どこを直せばいいのか。経験も大切だけど、エビデンス大切でしょうと思います。

 

何でもかんでもクーリング!

■クーリング以外にも!びっくり看護…

この前勤めてた病院で40度の高熱があり。『キンキンに冷やしときました』と言うので、嫌な予感がして申し送り後に速攻、患者さんの所に行きました。そしたら頭に氷枕。背中にも氷枕。トドメに氷枕を抱いていました。spo2も血圧も下がり、ショック状態でした。温めてなんとか切り抜けましたが。

2~3年めのナースが勤務にきます。そのナース達が必ず微熱でアイスノンします。「おい、おい」と思いながらアイスノンをする必要性がないのをきちんと説明します。

うちの職場では、高熱が出たら直ぐに座薬に頼る人がいて困ります。「〇〇さんが38.5℃あるので座薬を入れました」と送られて嫌な予感がしました。案の定、熱が下がっただけでなく、意識レベルまで下がって亡くなったケースもあります。

私の職場もベテランが大多数です。カルテなどから検査結果や病棟での情報は見ることなく、仕事は効率優先。血圧が下がったら、エホチール投与。

■クーリング、する?しない?

頭を冷やしたって、解熱しませんし、発熱時に冷やされても気持ちよくも何ともないのは、自分の身で証明されました。患者さんが希望すればクーリングしますが、希望しなければしませんよ。

当院では発熱時は本人が心地よいと感じる程度の頭部クーリングは行いますが、3点、5点クーリングなどはエビデンスがないとして禁止しています。

意識のある人は、寒気があれば温めます。寒気が落ち着いたところで、ご本人に伺いながらクーリングをするようにしています。

私の勤務する病院は医師から「発熱=クーリングとは考えないでほしい」と言われ、セットポイントに上がるまではクーリングしませんし、その事について家族に何か言われても説明し、了解していただきます。

私は38度ならまずは指示薬使ってクーリングします。もちろんシバリングがあるならクーリングはせず経過を追って考えます。38度で汗かくまでまってクーリングといってもどこまで待つの?

■新しいことを浸透させるには、時間がかかるもの

まずは正しいエビデンスに基づいて対応してくれる仲間を増やしていくことが先決かと思います。

現場では中々看護技術は変わらず浣腸を温めないでするというエビデンスもみんなに少しずつ話すのですが中々変わりません。病棟自体が学び変えていく姿勢がないとたった一人がなんか言ってる。位なんでしょうね。

最近ではこれから熱が上がりそうな時(シバリングや末梢の循環不全)は保温するという考えがスタッフに浸透してきた印象です。確かに、エビデンスは大切です。しかし経験年数の長いスタッフに新しいエビデンスを説明してもすぐに納得してもらえないですよね。私の職場も、症例を通してゆっくり浸透してきた感じです。

私もクーリングよりも保温してセットポイントの話をしたんですけど、「経験」を優先され、仕事が出来ないと言われました。ベテランになると、どうしても自分のやっていたことが正しいと自負があるので、上手くやらないとならないですね。

そもそも看護師同士のコミュニケーション不足の様な気がします。日頃から知ってる事でも「~だって習ったんですけど、新しい文献で変わっちゃったんですって!」とか共感を得る方向から攻めるとか色々な角度からそのNsを見てみたらどうでしょう?

■ちょっと待って!「エビデンス」と簡単に言うけれど…

敗血症の発熱は38℃前後でコントロールする方が生命予後がいいと
誰が書いた何という論文なのでしょう?信頼に足る機関から、信頼できるエビデンスレベルで提示されたものならまだしも、一つの論文で肯定されたから正しいというのは危ない認識です。
そして、敗血症かどうかわからない誤嚥性肺炎の患者に、何の検証もなく当てはめているのも問題です。
本当にガイドラインが適応できる状態なのか、検討することをしなければ、看護や医療ではなく、ただの作業になってしまいます。

「エビデンス」や「EBM」ということに関して、もっと学んだ方がいいと思います。
「奇跡の復活」という現象があったときに、体温管理がよかったから、血圧もSPO2もあがったと考えたくなるのかもしれません。本当に体温管理がよかったおかげなのか、考察するのが専門職ではないでしょうか。もしかしたら、保温と解熱を行わなかったら、更に早い回復をしていたのかもしれません。
大切と口で言うのは簡単ですが、本当の意味でエビデンスに基づいた看護や医療を行うのは簡単ではないと思います。

■看護は経験だけじゃないから…

エビデンスは大切です。看護は科学でもあるわけですから。自らが情報収集や学ぶこともせずに、経験だけでものを言う時代は終わっていると痛感しています。

新しい医療情報やエビデンスを今の職場に持ち込むことは出来ませんが、患者さんの為になることをしたいので、復習と最新知識の勉強は怠らずしていきたいと思います。

経験は大事ですが、経験だけでは危険です!!医療は日々進歩していますからね。

関連トピック:「 何でもかんでも熱発はクーリング!
イラスト・なしま

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