今年6月、代表・川添はオランダで躍進する訪問看護ステーション「Buurtzorg」を視察した。「日本の在宅看護の環境をよりよくするためのヒントがあるはずだ」――こう考える川添が見て驚いた、日本との違いについていくつかご紹介しよう。
自由な雰囲気の中、最先端のシステムを活用
今回見学させていただいたのは、アムステルダムのとあるステーション。オフィスは周辺に花屋や肉屋が軒を連ねる生活感あふれる建物の1階部分で、中はまるで一軒家のリビング・ダイニングのようだ。やってくるスタッフもタバコを吸っていたりと、いたって自由気ままな雰囲気を醸し出している。
「Buurtzorg」のステーションのスタッフは最大12名、ここでは10名が在籍している。彼らはすべて訪問看護師で、ケアプロ同様365日24時間対応のため、1日あたりの勤務人数は約半分だ。オフィスにやってくるスタッフは、各自がiPadを携えている。
ここにはスタッフ一人ひとりに関係ある情報が集約されている。そのiPadの「パーソナルブック」のページを開くと、今日のスケジュールや担当する利用者の申し送り事項、病院からの新規利用者に関するメールなどを確認できる。確認次第、自転車で颯爽と利用者宅へ向かうというわけだ。
ステーションに事務スタッフはいない!?
この見学で非常に興味をもったのが、「Buurtzorg」のITシステムだ。おそらく独自に開発したシステムだが、高度に発達している。ステーションを訪れて不思議に思ったのが、事務スタッフがいないことだった。
なんと、「Buurtzorg」本部にいるわずか30人足らずのバックオフィスが、全ステーションの介護料の請求や労働契約・給与等の業務管理、ヘルプデスク、品質管理などを一手に引き受けているのだ。ステーションの各スタッフは、毎日の利用者への訪問の時間や内容などの実績を入力するだけでよい。
ケアプロをはじめ、日本の訪問看護業務では事務仕事が大変多い。その部分がカットされていることは、経費削減の点でその効果は非常に大きい。
さらには、事務に費やす時間を、利用者へのより良いケアの提供と信頼関係の構築に費やすことができるのは、日本も見習うべきポイントだと思う。しかし、このシステムの開発、莫大な費用がかかっていることは間違いない……。