リフレクソロジーがさまざまな疾患・症状に対応できることは既に述べてきました。足裏をみることが、具体的にどう所見に役立つのかを数回にわたって解説したいと思います。今回は「痛み」を取り上げます。
直接痛みのある部位に触れず、反射区への刺激で苦痛を緩和する!
苦痛の緩和への対応は、医師に指示された薬剤の投与だけではありません。患者さんが訴える痛みのなかには、手を握ったり患部をさすったりするだけで緩和されるものもあります。看護師の判断で行える「手当て」という介入方法でも、苦痛や症状を緩和することはできるのです。
特にリフレクソロジーは痛みの原疾患に関係なく、また、直接患部に触ることなく関連部位に適切な刺激を伝えることができるので、安心して実施できる有用な方法です。さらに、痛みを訴えているそのときにその場で足裏を観察し、施療できるという行為自体が患者さんに大きな安心感を与えます。それが苦痛緩和にもつながり、患者さんとの間に信頼感を生むことにもなります。
原疾患や画像・検査データだけに頼らない、リフレクソロジーという第三の視点をもつことで、より幅広く患者さんの痛みに対応できるようになると思います。
実際の施療では、まず患者さんが身体上で痛みを訴えている部位の相当反射区を刺激してみることから始めます。その後、その原因やその痛みに関連する部位の反射区にも刺激を与えていきます。
刺激を与えている際に、患者さんから「痛い!」という発言が聞かれた場合の対処として、「維持圧」があります。その場で手の動きを止めてそっと押し、軽く痛みがある程度まで圧力をかけたところで維持します。それ以上に強く押したり、皮下に感じるしこりを無理に壊そうとしてはいけません。
患者さんには、「息をハーッと吐いて、身体の力を抜いてください」と伝えます。10秒ほどしたところで痛みを確認します。痛みが軽くなっているようであれば、その部位から施療を再開します。痛みが変わらなければ、この「維持圧」を2~3回繰り返してからトリートメントを再開してください。
※続いては、「腰・背中の痛みの所見はここをみる」です。
<!–readmore–>
痛みの所見に役立つ反射区・反射点
内臓痛は足裏全体を観察して、しこりや色の異常、腫れや緊張などからチェックします。これに対し、整形外科的な痛みは足の内側、触って骨があたるアーチのライン(生理的彎曲)でみていきます。
【腰痛】
腰痛のアセスメントは脊柱起立筋エリアで行います。下腿外側を足先(第5趾側)から膝まで床にべったりとつけ、足首を直角に曲げて、アキレス腱周辺を押したときの痛みの有無で確認します。
痛みがあったら次に、アーチ(足底および内側面の骨の並び)でラインの乱れをみます。乱れがなければ側弯、分離すべりなどがないことを示すので、脊柱起立筋系の疲労性腰痛と考えることができます。
この場合は指圧などで痛みを軽減できます。骨の分離があれば整体・整骨で、アーチ上に深いシワがある場合にはヘルニアの可能性もあるので整形外科で診てもらうとよいでしょう。
【背部痛】
背中の痛みのポイントは2つあります。一つは生理的彎曲で、この周辺にあるしこりや線、シワなどで判断します。深い線は最近のアンバランスを示し、細かな網目状のシワは先天的な筋力の弱さを示しています。
これらの徴候が左右両足に出ていれば背中の中央が、どちらかにあれば現れている側の背中に痛みがあると考えます。アーチの骨に向かって下から押していけば、しこりもほぐれて痛みは軽減されるでしょう。
もう一つのポイントが足背です。背中全体に張りや痛みがあるときは足背を刺激します。また、肩から肩甲骨にかけては、足趾の付け根と第5趾下のエリアでみていきます。足趾を足背方向に反らせた状態で、親指で反射エリアをほぐしていきます。
※一部内容がイラストに反映されていないところがあります。
次ページは、「頭痛の所見はここをみる」です。