コラム
  • 公開日: 2018/12/13

【連載】ナースの転職知恵袋

【看護師のリアル転職体験談 47】一般病院の内科外来から、デイサービスの看護師へ

1.夫の転勤により、後ろ髪を引かれる思いで転職することに

夫の転勤に合わせ、これまで数回の転職を繰り返してきました。幸い、看護師という資格があれば就職先がないということはないのですが、35歳を過ぎたあたりから少しずつ、自分の求める条件の職場に出会える確率が減っているように感じていました。

前の職場では私の理想としていた「病院の外来勤務」が叶えられていただけに、夫から転勤が正式決定したと言われた時は、「また転職しなくてはいけないのか」と肩を落としました。しかし、子供のことを考えると、まだ単身赴任してもらうという選択肢はありません。私はまさに後ろ髪を引かれる思いで、新天地での仕事探しを始めました。

2.前の病院を退職してから、新しい職場に転職するまでの流れ

夫の転勤が決まってから引っ越しまで、期間は2ヶ月しかありませんでした。しかも今回は、これまでのように年度末での転勤ではなく、年度途中での転勤だったことも、私にとって不安材料でした。

これまでも何回か転勤に合わせた転職をしてきた私でしたが、今回はこの限られた環境の中、本当に今の仕事のような良い条件の仕事を見つけることができるのか、強い不安を覚えつつ、転職活動を始めました。

STEP1:外来師長へ、退職の報告

転勤が決まった翌日、私はまず外来師長へ、退職の報告をしました。それまで住んでいた地域は県庁所在地であり、勤務していた病院も私のように転勤族の夫について全国各地を回っている看護師が多く在籍しているので、師長もすぐに退職について理解してくださいました。

先日、私は院内での新たなプロジェクトチームへ派遣されたばかりでもありました。そのため、師長は「あなたにはぜひこれからもっと活躍してもらいたいと思っていたから、残念だわ」と、嬉しい言葉をかけてくださいました。「本当に私は恵まれた環境で仕事をさせていただいていたのだな」と感謝の気持ちを持ちつつ、私は新たな仕事探しを始めました。

STEP2:ハローワーク&ナースセンターへ登録

今回決まった転勤先は、親戚なども誰も住んでいない、ほぼ全く知らない地域でした。そのため「まずは一度、直接訪ねてみよう」と考えた私は、休みの日に日帰りで、その地域へ出向き、まずはそこのナースセンターとハローワークへ登録しました。

ネットでも登録することはできますが、やはりその地域での医療的な特徴をつかむためには、直接訪ね、お話を聞くのが一番だと考えたのです。

今回はその地域のナースセンターで「この地域は特に高齢化が進んでいますし、あまり転勤などで人が入ってくる地域ではないので、皆さん一度就職すると長期にわたり勤務される方が多いです。そのため、夜勤がないという条件だと、クリニックや外来での求人探しは厳しいと思います。そのかわりと言ってはなんですが、高齢化に伴って今はどんどん介護施設が増えているので、その方面だったら、比較的条件の良い求人がそろっていますよ」と教えてもらうことができました。

これまで一度も介護の分野で仕事をしたことがなく、勤務することを考えたこともなかったため、不安もありました。しかし、提示された条件は良いと感じたため、とりあえず介護系の仕事を探してみることにしました。

STEP3:求人情報を細かくチェック

情報をもらった私は、早速インターネット上でさまざまな求人情報を比較し始めました。求人情報だけを見ると、つい目移りしてしまいがちですが、そこは妥協せず、一つずつじっくり調べることを心がけました。特に大手の介護系企業では、勤めていた方の口コミ情報が掲載されているサイトがあったため、そのサイトを見て、就職後困ることはないかどうか、確認しました。

そうして約半月にわたって求人票を比較しながら、最終的に候補を3つに絞りました。

STEP4:3カ所それぞれの面接を経て、1つの部署に決める

今回の転居先は、幸いこれまでの地域から電車を乗り継げばいける距離でした。そのため、施設側の都合と自分の勤務状況をすりあわせながら、最終候補となった3つの施設とも、見学&面接をしていただけることになりました。

求人情報やネット上の評判は良いのに、実際に施設の方々とお会いしてみると、想像していた様子とはずいぶん違うと感じた点がいくつかありました。無事に3施設とも内定をいただきましたが、最終的に一番相性が良いと感じた施設への就職を決めました。

STEP5:最後は法的な条件を提示することで、辞められることに

一方、クリニックの退職話はなかなか進みませんでした。夫人からは「後継者が見つかるまでは無理」と言われていましたが、近隣ではそういった活動に積極的なクリニックだということが知られていたこともあり、なかなか採用希望者は出てきませんでした。

次の仕事の初回出勤日から1ヶ月を切った頃、私は最終的に「法律的には、2週間前の告知で良いと言われているはずです。これ以上退職を止められるのならば、弁護士の先生へお願いするしかありません」と伝えました。院長夫人は焦ったのか、急いで後継者を探し出し、結局私が辞める1週間前に、新たな職員が採用されました。

私がクリニック内で請け負っていた仕事をその方へ引き継いで辞めることになっていたのですが、結局ほとんどが書面での引き継ぎとなってしまいました。
こうして、私はギリギリ退職することができたのでした。

3.転職してみて感じたこと

今回の転職で一番感じたこと、それは「百聞は一見にしかず」ということです。何回か転職経験のあった私ですが、今回は直接その地域で情報を集めたおかげで、多くの不安を解決させることができました。

現在はインターネットだけで調べることもできますし、多くの情報を集めることができると思いがちですが、実際に見て自分が受ける印象はまた違うこともあります。ですから、どんなに遠くても、就職を決める前に一度直接自分でその地域へ行ってみることを強くオススメしたいです。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと:キャリアアップすることができた

現在私が勤めている施設では、職員のキャリアアップを推奨しています。私は認知症看護の資格取得を目指しており、取得のために必要な費用についてはすべて施設側が負担してくれるため、とても助かっています。このような制度は今回の職場が初めてだったので、転職して良かったと思える点となっています。

△悪かったこと(1):給料が下がった

これはある程度は仕方ないことともいえますが、病院に比べると今の給料は手取り金額が少なくなってしまいました。また、さまざまな細かい手当などの福利厚生についても以前の職場に比べると制度が整っていないため、この点については悪かったと言わざるをえません。

△悪かったこと(2):経営状況が不安

今の施設は私が転居してきたタイミングで開設されたとても新しい施設です。施設長曰く、当初の予定よりも売り上げがよくないらしく、経営状況があまり良くないとのことでした。

これまで病院でしか勤務したことなかったため、こういった経営状況についてまで気にしなければならないといったことはなかったのですが、この施設がもし閉鎖となれば、私も失業してしまいます。それではとても困りますし、こういったことを気にしなくてはいけないという点で、悪かったと感じています。

5.自分の転職に、妥協はしない。自分の希望はしっかり伝えるべき

私は夫の転勤についていくため、仕方なく転職回数を増やしています。しかし中には、「自分の希望に合わないから」と簡単に転職してしまう看護師さんも多いと感じています。自分の転職は、自分自身が決断し、行うものです。そのため、転職先には一切妥協せず、自分の希望はしっかり伝えるべきだと思います。

もちろん、自分の希望がすべてかなう職場はないということもありますが、「これでもいっか」と中途半端な状態で、納得しないまま就職しても、その職場で働き続けられるわけないのです。今はまだ看護師は売り手市場ですが、それもいつまで続くかはわかりません。

だからこそ、自分の転職に妥協しないことはとても大切なことではないかと考えます。私のように、辞めざるを得ないという看護師さんもいらっしゃるかと思いますが、ぜひ新たな職場でも「妥協しない」でいただきたいです。

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