コラム
  • 公開日: 2019/11/28

【連載】ナースの転職知恵袋

【看護師のリアル転職体験談 90】病院の手術室からクリニックへ転職

1.自然災害をきっかけに、実家近隣で働くため、転職することに

私が今回転職を考えたきっかけは、地元を襲った自然災害でした。場所を細かくはお伝えできませんが、近年増えている自然災害により、私の地元も大きな被害を受けてしまいました。幸い両親は無事でしたが、私が生まれ育った家は全壊してしまい、両親は現在も仮設住宅にて暮らしている状態です。

これまで何不自由なく育ててくれた両親が、不自由な生活をしいられている現状。そして、大きく傷ついた地元を見て、私も少しでいいからお役に立ちたいという思いが湧き上がり、私は転職を決意したのでした。

2.前の医院を退職してから、新しい医院に転職するまでの流れ

自然災害から転職を決意した私でしたが、元々看護師の中では少ない男であるということも足かせとなり、なかなか苦戦してしまいました。

STEP1:まずは信頼している男性先輩看護師の元へ

今回転職するにあたり、私はまず、新卒で入職した病院での男性先輩看護師へ相談しました。その先輩は病院の中で始めて採用された男性看護師であり、女性が圧倒的多数の看護師の世界で、適度な距離感を保ちながら今では若くして看護副部長として働いている方です。

その方へ素直に今の私の気持ちを伝えると、先輩はこうおっしゃいました。「君は新卒の時からとてもご両親のことを大切に思っていたから、転職して地元へ貢献したいという気持ちはよくわかるよ。もしよければ、ぜひこれまで経験したことのない領域へチャレンジしてみたら?例えば、地元の病院へ就職するのではなく、訪問看護とかクリニックとか、より地域に密着した職場へ転職するというのもありだよ」

これまで転職=病院と考えていた私ですが、先輩のアドバイスをきっかけに、私はクリニックへの転職を検討することにしました。

STEP2:先輩が利用した紹介会社を利用することに

先輩へ相談にいった時、先輩はこうもアドバイスしてくれました。「残念だけど、まだ男性だからという理由だけで働きにくい職場は多い。特に君が転職しようとしている地域は、元々過疎になりつつある地域だったし、先の自然災害でより大変な状況にある。だからこそ、そういったことを考慮した求人先を探すためには、紹介会社を利用したほうがいいと思うよ」

そして先輩は、今働いている職場を紹介してくれた紹介会社を紹介してくださいました。この紹介会社を利用することで、私の転職活動はとてもテンポよく進めることができました。

STEP3:プライベート優先ならと紹介された、新設クリニック

紹介してもらった紹介会社の担当者は、私の条件を聞いた上で新設クリニックを紹介してくださいました。その新設クリニックの院長は、私のようにその地域が地元で生まれ故郷であり、自然災害によって傷ついた地元を少しでも元気づけたいと、自ら大学病院を辞め、このたび開業することになったとのことです。

しかも、紹介会社の担当者曰く「実はこの院長、男性の看護師さんを一人でもいいから採用したいとおっしゃっていたんです。そのため、お互いにとってとても良い条件だと思いますよ」とのことなんです。男性であることが足かせになるどころか、むしろ希望してくださっているということに感動した私は、早速そのクリニックでの就職試験を受けることにしました。

STEP4:気さくな院長の人柄に惹かれ、就職を決意

試験当日、院長はとても気さくに面接をしてくださいました。「男性の看護師さんが来てくださるということで、私もとても嬉しいんです。というのも、看護師さんが女性だらけだと、何かと人間関係でもめやすいでしょ。その点、男性看護師さんが一人でも在籍してくださると、全体の雰囲気が良くなるというのを、これまでの職場で痛感しました。ぜひ一緒に働いてくださいませんか?」

その言葉一つひとつがとても嬉しく感じた私は、その場でクリニックへの転職を決意しました。

STEP5:手術室は以外と辞めやすい!?

転職が決まった後、私は手術室の看護師長へ退職の申し出を行いました。退職を申し出ると、師長は残念がるどころか「あ、そうなの?わかったわ。じゃあ、退職日は〇日でも良い?」とあっさり受理されました。

私の職場だけかもしれませんが、外科の先生が何名か辞めてしまったことから、手術室の看護師人数が必要な人数を超えてしまい、少しでも減らしたいという思いがあったそうです。そこで私が退職の申し出をしたことで、渡りに船状態だったようです。

こうして私はあっさりと前職を辞め、生まれ故郷で看護師としても第二の人生を過ごし始めました。

3.転職してみて感じたこと

私は新卒時、看護師=病院と考え就職しましたが、当時の看護部長の考えから、男性であるという理由だけで手術室へ配属されました。看護師の世界は女性が圧倒的に多いため、男性看護師は肩身が狭く、どの病院でも多かれ少なかれ希望が通りにくいということがあるようです。

性別だけで配属先を決められるのではなく、もっと個別の希望に沿った配属をするべきだと思いますし、私のように男性だからという理由で配属先を決められて不快な思いをした方は、思い切って転職してしまうのも手段の一つだと思います。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと(1):新設ゆえ、みんなで一から人間関係を構築できる

新しい職場では、新設であるがゆえにお互いが初対面から人間関係を構築することができました。これは、男性である私にとってもとても良いことでした。というのも、女性同士は男性である私にはわかり得ない、細かい人間関係が構築されやすく、うっかり話しかけることで地雷を踏んでしまうということが珍しくないのです。そのため、一から人間関係を構築できるという点はとても良かったことです。

◎良かったこと(2):  休日が固定となり、プライベートの時間が増えた

今回の転職により、これまでシフト制だった仕事が固定された曜日および時間で働けるようになり、プライベートの時間を増やすことができました。今は、休みの日に両親の新たな居住先を探したり、地元でのイベントへボランティアとして参加したりしています。職場で働く以外にも、こういった場面で地域へ貢献できるのがとても嬉しいですし、ありがたいです。

△悪かったこと:就業環境がまだ十分整っていない

今の職場は新設であり、先生も初めての開業であることも相まって、まだ就業環境が十分に整っていません。初めはボーナスを支給すると言われていましたが、就職後1年以上たった今でもボーナスが支払われる気配はありません。今は、経営を軌道に乗せるということが優先されるため、文句や不満はありませんが、これから先きちんと整えてくれるのか、不安はあります。

5.ただ担当者さんに流されるのではなく、自分でも積極的に情報を集めるべき

看護師が転職するにあたって、とても便利なのが紹介会社です。しかし一方で、紹介会社の紹介してくれた求人が、あなたにとって必ず最適な求人というわけではありません。僕の場合は、紹介していただいた求人が僕の条件にすべてあっていたこともあり、自分でも納得できる内容だったので転職しましたが、もっと自分でも積極的に情報を集めるべきだったかな、とも思っています。

ぜひ皆さんが転職する際は、担当者さんに紹介してもらえる求人について自分でも積極的に情報を集めた上で転職されることをオススメします!

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