コラム
  • 公開日: 2018/12/13

【連載】ナースの転職知恵袋

【看護師のリアル転職体験談 45】総合病院の混合病棟から、特別養護老人ホームの看護師へ

1.子供との時間、そして自分の健康を守るために、転職を決意

私はこれまで、小学生の2人の子供を育てながら、計2カ所の総合病院で働いてきました。2人目の出産後も産休のみ取得してすぐに復職するほど、看護師の仕事にやりがいを感じていました。でも、整形外科を含む混合病棟のために緊急オペや緊急入院も多く、人手不足から夜勤も月に7回以上あり、体力的な限界を感じていました。

そんな日々の中で、連日帰りが遅く、学童保育でも一番最後にお迎えにくる私に対し、下の子供が「お母さんは僕たちよりもお仕事が大切なの?」と言ってきたことが決定的となり、私は夜勤がなく、もっと子供たちとの時間を大切にできる職場への転職を決意しました。

2.前の病院を退職してから、新しい病院に転職するまでの流れ

以前転職した時はまだ結婚前だったこともあったため、仕事内容で職場を選ぶことができました。しかし今回は、「夜勤がない」「子供たちとの時間がとれる」という、新たな条件が加わっています。この2つが叶えられる職場なんてあるのか、不安を感じながら私の転職活動は始まりました。

STEP1:まずは人材紹介サイトへ登録

転職を決意したその日のうちに、私はまず、前回の転職時でもお世話になった人材紹介サイトへ登録しました。翌日すぐに連絡が来て、担当者の方と直接お話することができました。

私の希望を改めて伝えると、担当者から「夜勤がなく、比較的子供たちとの時間がとれる職場ならば、特別養護老人ホームをはじめとした、入所施設はいかがですか?」という提案を受けました。

提案を受けるまで、介護系の仕事について全く考えていなかったのですが、改めて考えてみると、もう病院である程度経験は積めたので、今後はこれまで培った知識と経験を生かして、そういった施設での勤務も良いな、と素直に思えました。夫も「自分がそう思えるならば、いいんじゃない?」と賛成してくれたので、提案通り介護施設に絞って転職活動をすることにしました。

STEP2:部長の理解を先に得る

転職先を探すとともにしなくてはいけないのが、これまでの職場を退職することです。それまでの看護部長は私が転職した時の師長であり、これまでも育児と仕事の両立について、何回も相談に乗ってもらっていました。

そのため、本来ならば師長へ先に報告しなければいけないのでしょうが、私はまず、看護部長へ直接退職の意志を伝えました。部長は驚かれていましたが、子供から言われた一言を伝えると「そう言われたら、お母さんとしては辛いわよね。残念だけど、仕方ないわ」と理解してくださいました。しかしこの「部長へ先に報告したこと」が、師長の逆鱗に触れてしまったのでした…。

STEP3:師長から「顔に泥を塗られた」と激怒される

部長への報告を済ませ、安心していた私でしたが、次の日いつも通り出勤すると、師長がカンカンになっていました。「退職の意思は、まず師長に伝えるものでしょ?いくらあなたが部長と仲が良いからって、先に部長に報告するなんて、社会人としてありえないわ。私に恥をかかせたいの?」

元々私のことをよく思っていない師長だったので、ある程度小言を言われることは覚悟していましたが、私を見るや否や大声で私を叱責する師長に周囲は驚いてしまい、その場を納めるのが大変でした。でも、この一件から私は「もうこの病院で働くのは無理だ」と改めて思いました。

そして部長を経由して、私は1ヶ月後をめどに退職することとなりました。

STEP4:候補を4つに絞り、見学した上で最終候補を決める

今回の転職では、共働きということと、退職金がわずかですが出ることもあったため、一度退職し、子供たちとの時間をゆっくりもちながら、時間をかけて転職先を探そうと考えていました。前の職場を退職した後、私は改めて人材紹介サイトと連絡を取り、私の条件に合う施設を探してもらいました。

そして候補としてあげてもらった4つの施設すべてに直接見学を申し込み、自分の目と感覚で一番自分に合いそうな施設を探しました。紹介してもらった施設の中には、職員の方々がとても忙しく無愛想であり、入居している方々の表情もとても暗い印象を受けた所もありました。

やはり働くならば、職員も入居者も生き生きされているところが一番です。
そうして私は、「ここだ」と思える施設へ、人材紹介サイトを通じて面接を申し込みました。

STEP5:施設長の人柄に惹かれ、最終的な入職を決意する

面接日当日は、人材紹介サイトの方と簡単な打ち合わせをした上で臨むことができたので、比較的リラックスしながら受けることができました。施設長はとても朗らかな方で、「あなたのような経験のある看護師さんが来てくださると、とても心強いです」と歓迎してくださいました。

また、職員の方々も皆さん笑顔で挨拶してくださり、看護職員と介護職員の方が笑顔で情報交換している場面も確認することができ、「ここで働きたい」と心から思うことができました。そして面接日の翌日には、正式な内定通知をいただきました。

3.転職してみて感じたこと

転職となると、多くの方が前職を辞めて期間を空けずにそのまま次の職場へ転職されているかと思います。しかし、私のように「プライベートを充実させたい」という理由で転職活動されているのならば、退職して少し時間を空けてから、転職活動をした方が、より次の就職先について調べる時間が増えるので、オススメです。

私の場合は、4つの候補を見学することに加え、子供たちの連休に合わせて久々の家族旅行をすることで、心身ともにリフレッシュした状態で新たな職場での生活を始めることができました。ぜひ焦らず、自分が納得できる状態で転職活動をしていただきたいです。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと(1):人間関係がとても良い

以前の職場では、部長とは話しがいろいろとできたものの、師長との相性が最悪だったために、日々の業務に支障が出るほど、人間関係に悩む日々でした。しかし今の職場は、施設長を含め職員全体の人間関係がとても良く、毎日気持ちよく仕事をすることができています。この雰囲気の良さは、実際に見学することで実感することができたので、見学の大切さをしみじみと感じています。

◎良かったこと(2):通勤時間が短くなった

これまでの職場は結婚前からお世話になっており、結婚して転居してからも働き続けていたため、通勤に車で45分以上かかっていました。しかし今の職場は車で10分ほどの場所にあり、天気の良い日は自転車で行くこともできます。

通勤時間が短くなったことで、家で過ごせる時間をより増やすことができ、結果として子供との時間をさらに増やすことができました。通勤時間が短くなったということも、この転職で大きく改善できた点といえます。

△悪かったこと:給料が安い

これまでの職場でとても良かったこと。それは、ボーナス額を中心としたお給料の高さでした。「働き続けるのは大変だけど、お給料が良いから今の職場で頑張る」という方が何人もいたくらいです。その職場から退職し、今の職場に移ったことで、残念ながらお給料は大きく減りました。

夫が昇給してくれたことで、ある程度マイナス分を補填することができましたが、今後子供たちが大きくなり、学費などがよりかかる年齢になった時、今のお給料で大丈夫なのかどうか、不安が残ります。

5.自分にとって何を一番大切にしたいのかを明確にすべき

以前の転職の時も感じたのですが、看護師はどこも人手不足ということもあり、求人情報を見ると魅力的な条件が並んでいます。そのため、どこを選んで良いのかわからなくなってしまう方が多いと思います。そういった方は、私のようにいったん退職した後、ゆっくりと転職先を選ぶことをオススメしたいです。

一度退職し、仕事から離れた生活を送ることで、見学など、転職先をじっくり選べるだけでなく、自分がこの転職で何を一番大切にしたいのかも、ゆっくり考える時間を持つことができます。転職は何回も繰り返すものではありません。だからこそ、自分にとって何を一番大切にしたいのか、じっくり時間をかけてでも明確にしてから、納得できる転職をしていただきたいです。

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