コラム
  • 公開日: 2018/11/5

【連載】ナースの転職知恵袋

【看護師のリアル転職体験談 31】大学病院から一般病院へ

1.患者さんと向き合いたくて

大学の看護学部を卒業して、そのまま実習でお世話になった大学病院へ就職をしました。大学病院とは常に新しい治療を試みることが多く、医療の発展に重きを置いています。最先端の治療を間近で目にすることができるという点ではやりがいを感じることはありました。

しかし、新しい治療を行うときには、それに伴う勉強会が開かれるのが通常です。医師だけでなく、看護師も勉強をしなくては、看護ケアに当たれませんので、治療の内容についてしっかり理解をしておく必要があります。とにかく、勉強、勉強、勉強の毎日でした。

また、大学病院は医療者を育てるという目的も担っているので、常に研修医や看護学生がいます。看護師は看護学生のフォローを行わなければいけません。一応看護学校の先生がついていますが、患者さんの責任は担当看護師にあるので、結局は学生の面倒を見ることになります。とにかく、毎日が忙しかったことしか覚えていません。

長く同じ病院で働いていると、いろいろな役割も増えて、委員会だの会議だの、看護業務以外の仕事も多くなりました。病気やけがの人の助けになりたいという思いで看護師になったのに、患者さんと向き合うどころか、業務に追われていることに気がつき、とても悲しくなってきたのです。

大学病院では、その特有の目的から、医師が患者さんを「人間」としてというよりは「症例」としてみているように感じていました。医療の発展のためには仕方のないことですが、違った環境で仕事がしたいと強く思い始めました。治療があっての患者さんではなく、患者さんを中心に、医師や看護師がチームになってケアを行う医療にかかわりたいと思ったのです。

10年という節目で、転職を決意しました。大学病院では十分に勉強させてもらいましたので、感謝の気持ちでいっぱいです。違う病院で患者さんの看護ケアにあたるときにも、大いに役に立つ勉強をさせてもらったと思っています。

2.前の病院を退職してから、新しい病院に転職するまでの流れ

STEP1:転職先を探す

とにかく大学病院での仕事が忙しかったので、自分で転職先を探している時間がありませんでした。そこで看護師専門の転職紹介サービスを利用しました。インターネットで検索するといろいろ出てきます。自分の希望する条件をあらかじめ伝えておくと、条件に合った勤務先を紹介してくれるので、忙しい私にはぴったりでした。

STEP2:求人の紹介を受け面接、そして採用

いくつかの病院を紹介してもらいました。通勤時間や給与、勤務体系などを比べて、そのなかの1つに決めたのですが、面接をしたら、そのまま採用となりました。

STEP3:退職届を出す

すぐに採用が決まったので、急いで退職届を出しました。退職届には一身上の都合としましたが、当然理由を聞かれました。誰にも相談していなかったので、びっくりされたようです。

正直に理由を打ち明けると、理解をしてもらい、次の病院でもがんばるように励ましの言葉をいただきました。

3.転職してみて感じたこと

大学病院以外に勤めたことがなかったので、実際に新しい職場に行った時にはとても緊張をしました。仕事にブランクがあったわけではありませんから、看護の仕事そのものについては特に困りませんでした。ただ、物品の場所を覚えたり、薬の管理方法が違ったりしたので、少しとまどいました。

患者さんについては、親切な年配の看護師さんが時間の空いた時にいろいろと話をしてくれたので、分厚いカルテを読む手間が省けて助かりました。そのうちに、他のスタッフとも打ち解けることができ、人間関係については大学病院よりも良い印象です。看護師だけでなく、医師も気さくな人が多く、とても働きやすいです。

患者さんのケアについても、他の看護スタッフや医師、薬剤師などと相談したり、意見交換したり簡単にできます。以前の病院では、看護師は医師の部下のような構図になっていたので、特に上の医師には意見するのは難しい状況でした。今は簡単に自分の思いを発言したり、患者さんの思いを伝えたりすることができるので、やりがいを感じています。

今回、私は転職紹介サービスを利用したのですが、時間がない人にはお勧めです。ただし、自分の思いはきちんと伝えておかないと、思ったような転職ができないかもしれません。

今の職場をどうして退職したいのか、転職先には何を求めるかなどといったことです。曖昧な希望を提出すると、いろいろと紹介してもらえるかもしれませんが、選ぶのが大変になってしまいます。自分の希望を伝えるときの手間だけはおしまずに、じっくり考えて、できるだけ詳しく伝えるべきです。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

◎良かったこと(1):休日が増えた

大学病院も本来なら休日はしっかりあるはずなのですが、何かと休日出勤をしなければなりませんでした。勉強会、病棟会議、ケーススタディー、委員会などが休みの日にあたると、休日出勤です。午後4時からや5時からというのが多いのですが、何となくその日は休んだ気になれないです。

今回の転職先ではそのようなことがほとんどないので、休日をしっかり休みとして活用することができています。

◎良かったこと(2):プライベートの時間が増えた

以前の職場では、新しい治療の患者さんを受け持つことになると、その治療の勉強をしっかりしておく必要がありました。自分の受け持ちでなくても、チームが同じであると、夜勤で見ないといけないので、結局は勉強が必要でした。だいたいは勉強会が開かれますが、自分の夜勤と重なったりして勉強会に出席できないときには時間をつくって勉強しなければなりませんでした。プライベートの時間がほとんど勉強に消えていきましたが、今回の転職先ではそのようなことはたまにしかありません。

◎良かったこと(3):環境や人間関係が良くなった

働く環境が良くなったことを感じています。特に、意識はしていなかったのですが、大学病院では忙しいせいか、性格のきつい看護師が多かったように感じています。勉強ばかりさせられるので、プライドが高いというか、同僚に対する優しさが少なかったように思います。今の病院は同僚も親切で、看護師に対して偉そうな医師が少なくて驚いています。

△悪かったこと(1):給料が減った

給料は思った以上に少なくなりました。以前の勤務先は大学病院なので、公務員に準ずる待遇でもありましたが、それもなくなりました。大学病院勤務は何かと優遇されていたので残念です。

△悪かったこと(2):通勤時間が増えた

大学病院では寮に入っていたので、通勤時間は徒歩数分でした。今回、退職で寮を出なくてはいけませんでしたから、実家に戻りました。通勤時間は増えてしまいましたが、母親が食事を作ってくれたり、洗濯を一緒にしてくれたりするので助かっている面も大いにあります。

△悪かったこと(3):キャリアアップが難しい

少し規模の小さい病院に移ったことで、今後、大学病院に戻りたいと思っても難しいと思っています。専門の勉強をしたいとも思うのですが、なかなか自分の興味と病院のニーズが合いません。

5.転職サイトを利用すれば働きながら転職先を探すことも難しくない

大学病院では、新しい治療の勉強や学生の世話など、何かと忙しく仕事に追われていました。そのため、仕事を続けながら転職先を探すのは時間的に困難でもありました。そこで利用したのが転職サイトです。

求人の情報を集めて、自分自身の条件に合うものを絞り込む作業を代わりに行ってくれるため、求人を一つ一つ確認する時間のない私にとってはとても助かりました。結局、一つ目に面接をしたところですぐに決定し、今、満足して働いています。

連日の勤務で忙しい中、無駄な時間を省いて効率的に転職先を見つけたい方にはぜひ利用して欲しいと思います。

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