外国人患者さんに英語で対応できる? アメリカの医療現場で実際に使われている、患者さんにもすんなり伝わる簡単な医療英語をマスターしよう!
患者さんに一番近い存在の看護師は、「今日はどうされました?」から始め、症状を聞いて患者さんに起こっている問題の把握を行います。外国人の患者さんに対してもコミュニケーションを通して主観的情報を収集し、客観的情報と合わせて全身状態を把握することが必要です。
今回は、胃の疾患:胃・十二指腸潰瘍の症状について紹介します。
胃潰瘍(stomach ulcer)・十二指腸潰瘍(duodenal ulcer)を総称して「消化性潰瘍(peptic ulcer)」といいます。
「peptic ulcer」は、食べ物を分解する胃酸や消化酵素といった胃粘膜を攻撃する力と、胃粘膜を保護する力のバランスが崩れて潰瘍(ulcer)ができる疾患です。
粘膜までの損傷を「びらん(erosion)」、粘膜を超えて筋層まで傷ついた状態を「潰瘍(ulcer)」といいます。
「stomach ulcer」は40~50歳代、「duodenal ulcer」は20~30歳代に多く発症する傾向があります。
近年どちらも減少傾向にありますが、再発しやすく、消化性潰瘍になりやすい人には日常生活や生活環境の改善を促すなど、教育的なかかわりや支援が必要になります。
以下の事例に沿って、Peptic ulcerの症状の把握に必要なフレーズを紹介します。
事例:35歳、男性
2週間前から、空腹時にキリキリと刺し込むようなお腹の痛みが出現する。夜間は痛みと嘔気で目が覚めて睡眠不足が続いていたが、仕事が忙しく市販の痛み止めを服用し様子をみていた。
1週間前から便の色が黒っぽくなり下痢が続くようになった。
今朝、数回コーヒー残渣様の吐物を嘔吐し痛みが悪化したため、消化器外来を受診する。
来院時、血圧100/63mmHg、脈拍110回/分、体温37.0℃、SpO2 97%、意識レベルクリア、NRS 5/10
2年前に胃潰瘍の既往があり、ピロリ菌陽性にて除去療法を施行している。最近、NSAIDsやアスピリン系の薬は使用していないが、仕事のストレスから飲酒と喫煙量は増えていた。
主訴には「お腹の痛みが強くなり数回吐いた」と記載されていた。
本日のフレーズ
「胃潰瘍の既往がありピロリ菌の除菌をしたようですね。
アスピリン®やアドヴィル®、アリーヴ®といった痛み止めを使っていませんか?
これらの痛み止めを長期間服用すると胃や十二指腸に潰瘍ができやすくなります」
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の2大原因は、ピロリ菌感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用です。原因となり得る薬の使用がないか具体的な市販薬名を挙げて確認してみましょう。
さて、みなさんはどう英語で表現しますか?