モンゴルで唯一のがん専門病院を訪れた佐川香奈さん。今回は、日本の常識とはかけ離れたモンゴルの医療をレポートします。
ナースステーションは看護師が不在でガランとした印象
がん専門病院にて
みなさん、お久しぶりです。こちらの気候に慣れずに体調を壊し、職場に行っても言葉が分からない毎日に心も体も少し疲れてしまったので、レポートは少しお休みさせてもらいました。
楽しみにしていた方、申し訳ありません。これからもレポートを続けていきますので、よろしくお願いします!
さて、今回はモンゴルの首都ウランバートルで訪れた場所について紹介しようと思います。まずは「国立がんセンター」。ここはモンゴルで唯一のがん専門病院で、モンゴル全土から患者さんが来るそうです。
私はモンゴルの病院を見るのはここが初めて。日本の病院と違うところがたくさんあって非常に驚きました。全部は難しいので、一部を紹介します。
この病院では、がんに対して外科治療・放射線治療・化学療法を行っていて、消化器、婦人科系、呼吸器などに対応しているそうです。また、外科的治療が中心で、造血器系の疾患に関しての診断は難しく治療も行っていません。
病棟は外科、集中治療室、放射線科病棟、化学療法病棟、緩和ケア病棟、小児科などがあります。
日本と異なるケア
話を聞いて驚いたのは、放射線療法を行うときに、皮膚がただれても放射線をあてるそうです。日本では考えられないことですが、こちらの国では命にはかえられないと、副作用が出ても治療を続けるそうです。
院内を見学してみると、病棟の中は掃除されていて、非常に綺麗な印象を受けました。相部屋ではベッドとベッドの間にカーテンはなく、ガラーンとした部屋にベッドと消灯台があるだけ。ナースコールはありません。ちなみにナースステーションもガラーンとしていて、看護師もいません。
そして、もう一つ驚いたのが、病室の片隅に置いてあった瓶の使い道。なんのために使うと思いますか? 実は、点滴が終わって抜針した後、止血のために使った酒精綿を捨てる瓶なんです。止血の確認は患者自身が行うようです。
点滴終了後、止血のために使った酒精綿を捨てるための瓶
自分の身は自分で守る
次に訪れたのは、モンゴルで病院を管轄している保健省です。保健省の方と少し話しました。私の場合、看護師に対する指導が多くなるだろうということでした。
また、モンゴルの看護師は日本の看護師の職務範囲よりも広く、最近、看護師の薬剤投与による死亡事故があったそうです。この話を聞いて、危険なことやできないことは、こちらからお断りすることを伝えました。自分の身は自分で守らないといけないと痛感しました。
次回の活動レポートに続きます。