【成人】62歳の男性。妻との2人暮らし。55歳から高血圧で内服治療中。朝の散歩を日課としていたが、2日前から歩行時に右下肢がもつれる感じがあった。今朝の散歩時、立位がとれない状態になったため、妻に伴われて救急外来を受診した。頭部CTで左硬膜下血腫が脳実質を圧迫しており、緊急手術目的で入院した。入院時、意識は清明。体温36.7℃。呼吸数16/分。脈拍66/分血圧140/70mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈Sp02〉97%。瞳孔両側2mm、対光反射は正常。頭痛と嘔吐とはなく、全身状態も安定していた。左穿頭血腫洗浄ドレナ一ジ術が施行され帰棟した。術直後の観察では、意識は刺激しなくても覚醒しているが、いまひとつはっきりしない状態である。頭痛と嘔吐とはない。体温36.7℃。呼吸数20/分。脈拍82/分。血圧190/90mmHg。 経皮的動脈血酸素飽和度〈Sp02〉99パーセント。硬膜下ドレーンから少量の排液がみられる。
術直後のアセスメントで正しいのはどれか。
1.血圧を下げる必要がある。
2.意識レベルはJCS2-10である。
3.ベッドの30度挙上が必要である。
4.頭蓋内圧亢進症状が出現している。
―――以下解答―――
(解答)1
<解説>
1.(○)術後管理で大切なことは、血圧を適正な値に維持することである。術直後は麻酔や術中出血の影響で循環動態は不安定になる。この患者は高血圧症もあり血圧が高い。血圧上昇は再出血を起こすこともあるため、血圧を下げる必要がある。
2.(×)JCS(ジャパン・コーマ・スケール)によると、この患者の意識レベルは1-1である。
3.(×)ドレナージ中に頭を動かす(高さを変える)ことにより、頭蓋内圧が変化したり、急激に排液が流出する可能性もあるため、医師による調整が必要である。
4.(×)頭蓋内圧亢進の症状は、頭痛や嘔吐、意識障害、瞳孔不同などがあるが、この患者にはみられていない。