外国人患者さんに英語で対応できる? アメリカの医療現場で実際に使われている、患者さんにもすんなり伝わる簡単な医療英語をマスターしよう!
患者さんに一番近い存在の看護師は、「今日はどうされましたか?」から始め、症状を聞いて患者さんに起こっている健康問題の把握を行います。外国人の患者さんに対してもコミュニケーションを通して主観的情報を収集し、客観的情報と合わせて全身状態の把握が必要ですね。
今回は、心不全の症状の聴取に必要なフレーズを紹介します。
心不全(heart failure)とは、心臓のポンプ機能が低下して、全身に血液を送り出すことができなくなった結果、息切れ、呼吸困難、むくみなどの症状が出現した状態をいいます。
心不全はきちんと治療をしないと、再発を繰り返し、徐々に進行して重篤化します。医療従事者だけではなく、患者さん本人やご家族が、病気をきちんと理解し治療に参加することが大切です。
心不全の治療法は、①症状を軽くする治療、②心不全の原因を治す治療、③心筋や血管を保護する治療、④生活指導の介入など心不全悪化のきっかけを取り除く治療、の4つに分類されます。
看護師は、OLDCART*に沿った心不全症状のアセスメントを行い、迅速な状態把握と全身観察に努めます。
今回は、以下の事例に沿って心不全の把握に必要なフレーズを紹介します。
事例:75 歳・男性
既往歴は、心筋梗塞・高血圧 ・2型糖尿病・心房細動があり、循環器外来を定期受診している。
手術歴は、1年前に冠動脈バイパス術(CABG)を施行している。
1カ月前から階段歩行などの労作時に呼吸苦や息切れ・動悸が出現する。安静にすると症状は治まり、夜もしっかり眠れたため様子をみていた。
1週間前から、全身倦怠感と息切れがひどくなり、昼夜問わず泡沫状の咳と痰が出て、横になって眠ることができなくなった。顔や手足にはむくみが出現し、ここ1週間で体重が3kg増えたため、かかりつけ医を受診する。
来院時、意識レベルクリア、血圧160/115mmHg、 脈94回/分、体温36.4℃、呼吸26 /分、SpO293%
主訴には「1カ月前から動くと息が切れて苦しい、最近は咳がひどくてあまり眠れない」と記載されていた。
本日のフレーズ
「お腹が張っている感じや膨れてきた感じはありませんか?
最近、食欲がなくなったり、食事量が減ることはありませんでしたか?」
体内に余分な水が溜まってくると、まず初期症状として息切れや足・顔のむくみが強くなります。さらに、腸や胃もむくみはじめ、腹部膨満感や食欲不振などの消化器症状や腹水などが生じます。
下肢の浮腫や体重増加に加えて、患者さんが消化器症状を訴えている場合は、心不全を疑います。
さて、みなさんはどう英語で表現しますか?
*OLDCARTとは、Onset(発症)、Location(症状のある部位)、Duration(症状のある持続時間)、Character(症状の性質)、Aggravating/Alleviating factor(増悪・軽減要因)、Radiation(症状の広がり)、Timing(症状がいつ起こるのか)の頭文字をとった症状のアセスメントツールです。