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ある骨折の患者さんが初めて病棟で歩行訓練した時のこと。
他Nsが「すごい歩けてる!頑張れ!」やホールにいた他患者が「頑張ってー」とエールを送ってました。
でもその患者さんは、「これでも頑張ってるつもりなのに…」と落ち込まれていました。
十人十色の看護観
■「頑張れ」を使わない理由
頑張ってリハビリしてるのにこれ以上どうしろと?という風に思った患者さんの気持ちも、理解できます。
入院している時点で、辛い病状や治療に耐えながら既に頑張っていると思うのです。
目一杯頑張ってる方にとってそれ以上に頑張れという言葉は「努力が足りない」「もっともっと」など追い詰める言葉になる場合がある。
対象者が頑張っていて其処に頑張れと言葉を掛けると人の心情によっては「まだまだ頑張るだけの余力があるんだから、出し惜しみしないでやりなさい」って聞こえる場合があるそうです。
いくら励ましの為の言葉でも相手の状況によっては毒にもなり、さらに地獄へ突き落とす言葉のようで、怖くて使いません。
■自分の経験から使わなくなった
以前整形外科で入院した事があります。
同じ時期に手術した人が自分より先に退院したり、計画通りのリハビリが進まないとすっごくイライラしたり辛くなりました。この経験から職場に復帰して働いていますがその人の状況を見て言葉をかけるようにしています。
私も精神的に落ち込んでいるときに、友人からもっとがんばれと言われてすごく落ち込みました。
今だってがんばってるのにこれ以上なにをがんばればいいんだって…
自分が入院・手術するまでは「頑張れ」という言葉を無意識に使うことがありました。
でも、自分が患者の立場になったらちょっとな…。って感じでした。
「いや、頑張ってるよ。これ以上頑張れってこと?それとも 私の頑張りって足らないってこと?」というもやっとしか感じと落ち込みがやってきました。
■「頑張れ」自体は悪い言葉じゃない
「頑張っていらっしゃいますね」と最初から肯定的に認めた形であれば、かえってその人の治そうとする意欲にもつながり、マイナスのイメージの言葉にはならないと思います。
つい、がんばれーっていいそうなのを飲み込み「頑張ってるねー!」って言うようにしてます。
その時の患者さんのなんとも言えないような嬉しそうな顔、恥ずかしそうにまだまだよ。っていう表情を見るのが好きです。
受け取る相手が今どういう状況かを見極めて使わなければ、同じ言葉でも励ましにも暴力にもなる。
その見極めができるプロが看護師だと考えます。
関連トピック:「
頑張れ
」
イラスト・なしま