エッセイ

定年後のお金の不安を解消するカギは「仕事・運用・健康」

2020/2/19

「いつまで看護師として働き続けられるのかな」
「定年後のお金が心配」
「お金に苦労する高齢者の患者さんを見ると他人事に思えない…」

看護師は安定した職業だという印象を持たれがちです。 しかし、看護師であっても定年後のお金の不安を抱える方も多いですよね。 また、不安を感じつつも何をすれば良いかわからない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は看護師が定年後の不安を解消するカギを、看護師かつファイナンシャル・プランナーの観点から説明します。 具体的には、①仕事②運用③健康の順番に重要なポイントを押さえていきます。

 

40歳以上の60.9%が老後の経済的不安を抱えている

厚生労働省が行った40歳以上の日本人を対象にした意識調査*1では、老後の不安の第一位が「健康上の問題(73.6%)」であり第二位に「経済上の問題(60.9%)」が続きました。

日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳*2であり、過去最高を更新し続けています。 定年後もまだまだ人生が続く可能性が高いと考えると、不安な気持ちになるのも当然です。 特に看護師は高齢者の不安や悩みを直接耳にする機会が多い職業なので、より考える機会も多いのではないでしょうか。

定年後の収入源としてまず考えられるのが年金です。

看護師の定年は一般的に「60歳」と言われており、年金受給開始年齢の「65歳」と5年間の開きがあります。 年金を繰り上げて60歳から受給することも可能ですが、その分1年あたりの年金額が減額されてしまいます。 また、年金制度が今後どのように維持されていくかも不透明であり、年金だけで定年後の生活を支える計画には不安が残ります。 では、どのようにして看護師が定年後のお金の不安を解消していくのか、順番に見ていきましょう。

 

①仕事:長く働き続ければ定年後が短くなる

まずは看護師の仕事をいかに長く続けることができるかに着目していきましょう。長く働き続ければ定年後の給与収入がない期間を減らすことができます。実際に70歳代や80歳代の現役看護師もいますよね。生活費を給与収入で賄うことができる期間が延びれば伸びるほど、年金の繰り下げ受給が可能になり、1年あたりの年金額も増額されます。

しかし、加齢に伴う体力低下は避けられません。 若い頃と同じような変則勤務やハードワークは無理があるでしょう。 そこで以下のような働き方を参考にしてみてください。

今の職場で嘱託職員として再雇用

嘱託職員とは非正規社員の雇用形態の一つです。 体力に合わせた勤務時間や業務内容を、職場と相談して決定します。 後輩の指導・教育に従事したり、現場で看護業務を続けたりすることができます。 これまで勤めていた職場なので新しく覚えることが少なく、人間関係も構築されているため、負担が小さくて済むのが大きなメリットです。 ただし、給料が減ってしまうことと、いつまで雇用されるのかの保証がないことがデメリットとして挙げられます。

クリニック

クリニックは身体的負担が少なく、これまで培ってきた経験や知識を活かしやすい職場の一つです。 もちろん夜勤はありません。 パートタイムの求人もありますので、体力に合わせた働き方ができます。 専門性の高い知識・経験があれば高収入を狙える場合も。 ただし、診療科によっては患者数が多く、多忙なクリニックもありますので確認が必要です。

健診センター

健診センターは健康診断を行うことを主な目的とした施設です。 健康な方を対象とするため負担は小さく、基本的な看護スキルを活かすことができます。 内視鏡介助などの専門性の高い経験があれば重宝されることも。 残業は少なくパート勤務の求人もあるため、60歳代以降の選択肢として考えてみましょう。

 

②運用:「貯蓄から投資へ」資産運用で定年後資金を準備する

長く働き続けることと同時に考えてもらいたいのが、資産運用による定年後資金の準備です。 しかし、「資産運用を始めた方が良いと思っているけど、何から始めるべきかわからない」という方も多いのではないでしょうか。 金融広報中央委員会の調査*3によると、株式や投資信託などのリスク性資産を購入したことのある人の割合は2~3割程度だと明らかにされています。 資産運用の経験がない人が多数派なのです。

看護師は仕事が忙しくストレスも多いので、できるだけ負担の小さい資産運用を考えていく必要があります。 そこでおすすめしたいのが、「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用した資産運用です。 どちらも国が推奨する資産運用方法であり、投資経験のない看護師でも失敗しにくいでしょう。 つみたてNISAとiDeCoのそれぞれの特徴をかんたんにご紹介します。

つみたてNISA

つみたてNISAは少額投資非課税制度のことです。 通常の資産運用では利益が出た場合、利益に対して20.315%が課税されます。 それに対し、つみたてNISAを利用した分の利益は課税されません。 つみたてNISAでは「毎月33,333円・年間40万円」を上限に、金融庁が定めた厳しい条件をクリアした投資信託のみを購入することができます。 最初に口座開設して積立設定さえしてしまえば、毎月決まったタイミングで自動買い付けしてくれるので初心者でも安心です。 100円から積立設定できますので、つみたてNISAで少額投資から始めて、慣れてきたら金額を増やして本格的な資産運用に取り組んでみてはいかがでしょうか。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金制度)は自分で資産運用して年金を作るための制度です。 iDeCoの最大の特徴は以下の3つの節税メリットにあります。

①掛け金が所得控除される
②運用で得た利益が非課税
③受け取る時にも退職金や年金として控除が適用される

しかし一度始めると、原則として60歳まで解約することができません。そのため自分の意志で資産運用を続ける自信がない方におすすめです。

お手軽に始められる「つみたてNISA」と強力な節税効果がある「iDeCo」。どちらも資産運用の鉄則である「長期・積立・分散」を守った手堅い投資ができる初心者の味方です。自分に合っている方、あるいは両方を利用して資産運用に取り組んでみましょう。

 

③健康:健康状態で必要な定年後資金が変わる

看護師は変則勤務を伴うハードワークであり、自分の健康を後回しにしてしまいがちな人も多いのではないでしょうか。

実際に看護協会の調査で以下のような看護師の健康問題が明らかにされています。

  • 40代で交代制勤務をする看護職の40.7%が健康度自己評価で「不調である」と回答*4
  • 看護職は「肩こり、腰痛、疲れ目、頭痛、倦怠感、慢性的な睡眠不足、憂鬱感、胃腸不良」を訴える割合が高い*4
  • 40~59歳の看護職の2人に1人が「自己の健康管理」を理由に短時間勤務を希望*5
  • 心身ともに健康な状態を保つことができれば、医療費や介護費を減らすことができます。 また、①で説明した長く働き続けることも健康でなければできませんよね。

    看護師の仕事を通して培った健康管理を患者だけでなく自分自身にも実践していきましょう。たとえば、腰痛対策として腰ベルトを装着する、毎日の食事時間をできるだけ同じにする、禁煙する、十分な睡眠時間を保つ、といったことです。健康を保つことはお金の不安を解消するだけでなく、定年後の人生を楽しむためにも繋がります。 取り組みやすいと思ったものから実践してみてください。

     

    看護師の仕事は定年後の不安を解消するのにとても便利!

    定年後のお金の不安を解消する3つのカギである「仕事・運用・健康」について説明しました。 幸いにも看護師の仕事は「生涯現役」が可能であり、仕事で培った健康管理の知識を自分に実践することもできます。 仕事を辞めるまでの間に安定した給与収入があれば、資産運用をコツコツ続けて大きな資産形成も夢ではありません。 看護師の仕事は、定年後のお金の不安を解消するのにとても便利な職業と言えます。 定年後のお金の不安を解消する参考になれば幸いです。

     

    参考文献

    *1 厚生労働省.”平成27年度 少子高齢社会等調査検討事業報告書”(参照 2019-12-23)
    *2 厚生労働省.”平成30年簡易生命表の概況”(参照 2019-12-23)
    *3 金融広報中央委員会.”金融リテラシー調査2016年”(参照 2019-12-23)
    *4 日本看護協会.”2010年 病院看護職の夜勤・交代制勤務等実態調査”(参照 2019-12-23)
    *5 日本看護協会.” 2009年 看護職員実態調査”(参照 2019-12-23)

    この記事を書いたのは

    看護師FP:しまづ 看護師として働く中で、お金の知識がないと時に自分や大切な家族の生活を脅かすことを実感し、ファイナンシャルプランナーの資格も取得。みなさんのお財布の健康を守るお手伝いをさせていただきます!

    イラスト・まえかわしお

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