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前置胎盤の妊婦さん…カンボジアでの周産期活動|仲本りさのナース日記【カンボジア編③】

  • 公開日: 2019/11/29
  • 更新日: 2020/1/15

 

こんにちは!
カンボジアレポートを見てくださってありがとうございます。

4日間の医療活動のうち早くも3日目…
あっという間に毎日が過ぎていきます…!

今日はカンボジア4セクション(手術・周産期・成人・小児)のうち、周産期の活動のボランティアを行います。

午前中は赤ちゃんの沐浴を行いました…!

か…可愛い…

 

ジャパンハートでの周産期活動は、主に「妊婦健診」「産褥期の入院」の2つです。

助産師のキクチさんがカンボジアに駐在されていて、普段はキクチさんが、現地の助産師さんとともに妊婦さん・産褥婦さん・赤ちゃんたちを支えています。日本から産科医が渡航してくる期間も定期的にあり、その間に予定の帝王切開のみ行っているそうです。

お産自体は、ジャパンハートの隣にあるカンボジア国立のポンネルー病院で現地助産師によって行われています。この日、たまたまお産があり…キクチさんに「ポンネルーの病院でお産があるみたいだよ!もうすぐ生まれそうだから見ておいで!」と言っていただいて出産を見学させてもらいました。

日本では、妊娠すると役所で母子手帳を交付してもらい、妊婦健診を受け、助産師や医師の診察を受けながら安全に出産できるよう妊娠経過を管理しますよね。出産時も、緊急の医療処置も行えるようサポート環境が整えられているのが一般的です。

でもカンボジアでは…

なかなか現地の妊産婦さんに必要性をわかってもらえなかったり、現地のやり方で今までやってきたプライドのあるスタッフに心を開いてもらえなかったり…苦しかったときに支えになったのが、エコーを使える技術だったとキクチさんは話します。

現地の人との関係性を築くことの難しさ、医療に対する不信感の強い場所で自分を信用してもらうことの難しさを、改めて感じました。

 

そしてその日、1人の妊婦さんが飛び込みで病院に来ました。

今日まで一度も妊婦健診を受けたことはなく、現在3分間隔でお腹が張っていて出血があるそう…
バタバタと診察をし、週数ははっきりわからないけれど、前置胎盤で陣発している!!ということがわかりました。(前置胎盤は産道のところに胎盤がある状態で、このまま陣痛が起こり子宮口が開いていってしまうと、大出血してしまい、赤ちゃんも出口がない状態なので、お母さんも赤ちゃんも死に至る緊急事態です)

産科医が駐在していないジャパンハートでは、緊急オペをすることができないため、その産婦さんはプノンペン市内の病院へ救急搬送されていきました…

市内までは約1時間半かかるそう。

それまで、どうかどうか出血がもちますように…お母さんと赤ちゃんに酸素がいきますように…必死で祈るしかありません。

沐浴での赤ちゃんたちの可愛らしい鳴き声やあくびの顔がよぎりました。
生まれることは、生きることは、奇跡なんだよな。

…2018年の統計によると、現在の日本の周産期死亡率は3.5、つまり妊娠22週以降〜生まれてから7日以内に亡くなる赤ちゃんは1,000人のうち3.5人のみです。周産期死亡率というのは、妊娠22週以降の死産と早期新生児の死亡率のことで、大まかにいうと妊娠から出産でどのくらい安全に赤ちゃんが生まれてくるかという周産期における医療レベルの指標になります。

周産期死亡率3.5というのは世界的に見ても素晴らしい数字です。
先進国であるヨーロッパ・アメリカでも約6前後、発展途上国のアフリカでは400を超え、半分近くが亡くなっています。妊娠がわかってから赤ちゃんを抱っこできるということが、いかに難しいことかということがわかります…

まさにカルチャーショックと言えるほど何もかもが違う人たちの中で、「生きること」が共通言語となって繋がっているんだな、と、感じた1日でした。

 

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著者紹介

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仲本りさ(risa_rsrs)
看護や日常で感じたことをイラストにした投稿が人気の現役ナース兼イラストレーター。Instagramのフォロワー数は40,000人以上。(2018年10月現在) 2018年 「現役看護師イラストエッセイ 病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。」を出版。

仲本りさ×ナース専科インタビュー

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