テーマ:同僚・上司・患者さんの、この一言に救われた
あなたが泣いてどうするの
受け持ち患者さんが急変
就職後4年は呼吸器内科で、その春から循環器内科が加わった、看護師5年目の春。
この時期では珍しく10年以上先輩との深夜勤でした。
下肢の痛みが出現し、肺がん疑いで入院となったものの、ここ数日でASOの疑いで循環器に転科された方でした。
3時頃に呼吸困難感を訴え、先輩と当直医に報告し、ホクナリンテープを貼付したり、ギャッチアップして対応していました。
しかし改善せず、HRも上昇するようになりました。
そのときの私は正直、循環器の病態もわからず、主治医の出勤を待っているところもありました。
ナースコールも少なくなり、徐々に落ち着いてきたように感じられたかなと思っていたところで、先輩が患者さんの部屋から出てきました。
「今にも呼吸が止まる。」と。
思うように動けなかった私に、先輩は
慌てて部屋に入ると、死戦期呼吸なのがわかり、「このままじゃ患者さんが死んじゃう」と一瞬にして頭がいっぱいになり泣き出してしまいました。
そのとき、先輩が「あなたが泣いてどうするの?泣けばこの患者さんは助かるの?先生に報告できる?できなれば私が電話するけど。」と言われ、自分は看護師だと我にかえりました。
先輩には「自分で先生に電話します!」と震えながら伝えましたが、主治医には「○○さんの呼吸が…」と言うのが精一杯でした。
恥ずかしながら、これまでの私の4年間は癌末期の方が多く、急変時の対応は経験がありませんでした。
しかし、先輩の言葉を受けて、この患者さんの処置に入りたいと思い、先輩には外回りを頼みました。
そして、当直医と主治医、当直師長が来棟し、挿管をするなどの処置がとられました。
報告や記録が終わり、先輩と帰る際、「今日はすみませんでした。」と伝えたところ、「頑張ったね」という言葉をかけてくれました。
言葉で伝えることの大切さ
今はこの先輩は異動され、一緒には働けていません。
ある程度年月が経つと、後輩が増え指導する立場が多くなります。
いざ自分がそういう立場になると、なかなか言葉に出せない現実もあります。
しかし、この先輩の言葉があったからこそ、伺いをたてるのではなく、できないこともできてることも言葉で伝えることが大事なのだと学びました。