女性医師からナースへのメッセージ

2016/11/25

寄稿山本佳奈(やまもとかな)
1989年滋賀県生まれ。医師。私立四天王寺中学・高等学校卒業。2015年3月、滋賀医科大学卒業、医師免許取得。同年4月より福島県の南相馬市立総合病院に勤務。大学時代から、医学博士・上昌広氏の下で貧血を中心に医療全般について研究している。

貧血の看護師

「先生、私ずっと貧血なの。最近、勤務がつらくて‥。」ある日、病棟に行くと女性の看護師さんからこのような相談を受けた。過去に鉄剤を内服したこともあるが、ひどい便秘に悩まされて、内服はやめてしまったという。

 だが、こうした相談は、今回が初めてではない。貧血に悩む看護師さんから相談を受けることは多い。いよいよ勤務に支障を来たしてしまうまで、倦怠感や疲労感を自覚しつつも、みな勤務を続けているようだった。

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驚くべき、女性看護師の貧血の割合

 一体、どれくらいの看護師が貧血なのだろうか。疑問に思った私は、昨年度の健康診断の採血結果をもとに、自身の勤務先の病院の女性看護師の貧血の割合を調査した。なんと、18.1%の看護師が貧血だと分かった。この結果には、心底驚いた。医療従事者である看護師の貧血の割合と、一般女性の貧血の割合とさほど違いがなかったからだ。2006年に実施された健康な日本人女性1万3000人以上を対象とした調査によると、50歳未満の日本人女性の22.3%が貧血であり、そのうち25.2%は重度の貧血であったのだ。

貧血の原因

 では、どうして女性は貧血になりやすいのだろうか?女性に貧血が多い原因として、月経による出血が挙げられる。子宮筋腫や子宮内膜症、子宮内膜増殖症が原因となって出血量が多くなり、貧血を引き起こしているケースも少なくない。

 ダイエットも、貧血をもたらす要因だ。厚生労働省が2013年に実施した「国民健康・栄養調査」によると、20代女性の平均エネルギー摂取量は1682kcal。1946年2月の都市部の平均エネルギー摂取量は1696kcalであるから、深刻な食糧難の頃よりも、現代の20代女性のエネルギー摂取量の方が少ないのだ。

 さらに、偏食も貧血をもたらす。厚生労働省による2013年の「国民健康・栄養調査」のデータによると、米などの穀類、魚介類、肉類、卵、大豆、野菜などを組み合わせた栄養バランスのすぐれた食事を三食摂っている人は、男女とも60代、70代以上は40%を超えたのに対して、20代女性は24.6%、30代女性は23.8%であった。若年女性の大半が、欠食や外食、インスタント食品に頼った食生活により、栄養バランスを崩していると分かる。食事摂取量が少ないと、食事から摂る栄養素は全体的に不足するが、中でも不足しやすいのが、鉄である。吸収率の高いヘム鉄は、ダイエットの敵と思われがちな動物性食品に含まれており、またビタミンの摂取は気にしたとしても、鉄の摂取を意識している人は少ないからだ。

疲労感からミスも…

 相談を受けた貧血の看護師さんは言う。疲労感を自覚することが多くなり、同僚の看護師とのコミュニケーションがうまく取れない日や、ミスを犯してしてしまう日が増えた、と。インシデントを引き起こしてしまうのも、時間の問題だと思い、ピルの内服するようアドバイスした。ピルの内服により、月経血は少なくなり、月経過多を改善することができるからだ。

 医療従事者が健康管理もままならなければ、患者さんにも悪影響を及ぼしかねない。今一度、看護師の方々には、自身の健康について目を向けて欲しいと思う。

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