• 公開日: 2016/8/8
  • 更新日: 2018/12/13

学生として、手術見学をさせていただく「責任」

テーマ:最も心に残っているエピソード

忘れられない患者さん

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老年実習で受け持った患者さん

当時、私は看護学生で実習に追われる日々を過ごしていました。
記録の多さ、指導者さんの厳しさに落ち込むこともしばしば。できない自分にもイライラ。
そんな中、老年実習である男性患者さんの受け持ちをさせていただくことになりました。

手術を見学させていただく「責任感」

その患者さんの病名は腎臓がん。受け持った翌週に手術を控えている患者さんでした。
手術見学も実習内容に含まれていました。
患者さんは常に冷静で医師からの説明もメモを取りながら、ときに質問もしながら、今の自分の病態について理解しようとする姿勢に、私は「手術をするって非日常的なことだし、きっとわたしだったら怖くて逃げだしたくなると思うのに○○さん(患者さんの名前)ってすごいな。」と思いながら接していました。
手術前日、その患者さんから「なあ学生さん。明日よろしくな。手術に立ち会ってくれるんやな。ひとつお願いがあるんや。僕は麻酔で眠っているし自分の体の中を見ることができない。学生さんが手術を見学して見たこと、感じたことを報告してほしい。そして僕の妻にも話してほしい。学生さんの正直な気持ちや言葉でいいから。」と言われました。
そこで私は「こんな貴重な経験をさせてもらうんだから、もっと責任感を持たなきゃ!記録がつらいとか思っている場合じゃない!」と強く思いました。

「この人に何ができるのか」

手術は無事に成功し、患者さんに報告もでき、術後の経過もよく元気に退院されました。
このことがきっかけでより強く「私はこの人に何ができるか」ということを考えるようになりました。
看護師になって15年ですが、私の原点はこの患者さんに出会えたことだと思います。

●執筆●しょうちゃんママ さん

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