国際化の時代、看護師にも英語は必要でしょうか? 移住者や観光客が増えているから、というのはもちろん、実はそれ以上に、看護師に英語が必要なワケがあるのです。看護師と英語の深ーい関係を、英語教育の現状に触れながら、解き明かしていきます。
英語ビジネスのカモになるな!
「聞くだけで英語が話せるようになる!」
一度はどこかで聞いたフレーズではないでしょうか。だとしたら、「聞くだけで憧れの歌手のように歌がうまくなる」も同じ理屈で通るはずです、がそんなことは決してありません。
習い事を含む教育は奉仕活動ではありません。ビジネスです。特に、英語は格好のドル箱ビジネスであり、人が挫折をすればするほど儲かるシステムになっています。やっかいなのは、このビジネスが人生の無駄にはならないとされる教育と結びついていることです。
教育は決して無駄にはならず、可能性を広げる強みになります。しかし、教育は「知の伝承」であり、私たちのゴールではありません。教育を受けてどう夢をかなえるか、どう社会に貢献するかが教育を受ける目的です。
とりわけ英語は、スポーツのように、何度も練習と失敗を重ねながら自分のフォームを確立し、音楽や芸術のように、五感を通して学ぶものです。そこに、統一の物差しや模範解答をひいて点数を競うような英語教育には矛盾を感じるのです。
残念ながら、日本の英語教育は手段から目的に変わり、TOEIC・TOEFLや英検の得点を競うことに人々の情熱が注がれ、受験者は右肩上がりです。繰り返しますが、テストだけの英語は、決して頭には残りません。そして、遅かれ早かれ挫折するでしょう。
挫折8割、当然の理由
教育は挫折をすればするほど儲かるビジネスだと先に述べました。では、英語の挫折率はというと、8割という驚くべき統計があります。
8割の人が長続きしない英語を始めるきっかけとは、
- 海外旅行に行きたい
- 世界中で友達を作りたい
- 会社で必要になった
- 英語ができないよりもできたほうがいい
が上位の理由に上がります。
一方、お隣の中国も英語教育が過熱している国ですが、中国人が英語を勉強する目的は
- いい仕事に就きたい
- とにかく人生を変えたい
- 親をがっかりさせたくない
- 自分の可能性を広げたい
など、日本人よりもシビアな理由が並びます。
中国では「英語ができなければ、お前は人間のクズだ」「英語を勉強する理由はただ1つ、金儲けだ」と言い放つ『クレイジー・イングリッシュ』という尋常ではない英語学習法が一時期一世を風靡しました。
狂気に満ちたパフォーマンスが「TED Talks」(世界の知識人による講演を集めた動画アーカイブ)でも取り上げられ世界的な話題となり、結果、行き過ぎた英語教育との批判も出ましたが、創設者である李陽氏の成功哲学の言葉は理にかなっているところもあります。それがこの一節です。
「恥をかき挫折をして、苦しんで成功しよう」
英語を学ぶ過程で、人は必ず恥をかき、苦労と挫折を味わい、怒りを覚え、涙を流します。その先に、成長と自信、そして成功があるのです。
挫折する人が多いのは、英語を学ぶきっかけと、習得するために必要な努力と忍耐の天秤が釣り合わず、投げ出してしまうからではないでしょうか?
「できないよりはできたほうがいいかな……」という中途半端な気持ちでは、到底乗り越えることのできない高い壁にぶち当たるでしょう。立ち向かう強い意志と情熱、そしてそれに見合う努力がなければ、挫折するのは当然なのです。
次回は、英語がもつ圧倒的な力についてです。