テーマ:患者さん・その家族からの「忘れられない一言」
生まれ変わって
疼痛と麻痺がある方のトイレ介助
かなり高齢で介助がないとトイレに行けない女性患者さん。笑顔が素敵で可愛いおばぁちゃんという印象の方です。
年齢的にあちこち痛いうえに、脳梗塞の後遺症で麻痺もありました。動きがとてもスローなのでトイレに間に合わず、失禁してしまうことも多々ありました。
トイレに行くたびに「ありがとう。この手が言うこと聞かないからねぇ」と自分の手をさすっていました。
「早くして欲しい」介助の時にそう思っていた自分
そんな彼女、身長は小さいのですが、体格が良く介助量が多いためトイレに行くのはかなり大変だなぁと日々思っていました。
とくに忙しい時にトイレに行きたいと言われると、「えぇー!今!?」と内心思ってしまうこともありましたが表情に出さないようにしているつもりでした。
トイレの中でも1人にできないので一緒に居るのですが、早くして欲しい…と顔に出ていたかもしれません。
「生まれ変わったら…」
忙しいある日、また一緒にトイレに行く機会がありました。
いつも通り介助をして、彼女が手を洗うのを待っていました。そこでいつもなら「ありがとう」と言葉が出ます。
その日彼女から出た言葉は、「毎日優しくしてくれて、本当に嬉しいよ。私が生まれ変わったら、あんたにも同じようにしてあげるからね。ありがとう」というものでした。
その日もすごく忙しい時だったので、心の中では早く!早く!と思っていた私は、すごく恥ずかしくなりました。その日から彼女の言葉が忘れられません。
そんな彼女は後日無事退院しました。どこかでまた、生まれ変わったら…という話をして、忙しいことに振り回されている私のような職員をハッとさせているかもしれません。