テーマ:私の上京物語
玄関を開けても暗い部屋
早く親元を離れたくて
高校辺りから、私の遅い反抗期は始まりました。
「親元を離れたい。」その一心で看護短大を経て寮のある病院へ就職を決めました。
家を出る日、なんとなくトラックから家を振り返り、もうここが我が家じゃなくなるんだ、と思いました。
悲しさより、清々する!という気持ちの方が断然勝っていました。
「こんなはずじゃなかった」
やりたい分野に特化した大学病院で待っていたのは、先輩からの厳しい指導でした。
毎日終電近くまで残っての勉強。精神的にも肉体的にも疲れ切っていました。
フラフラで寮に帰っても、玄関にはもちろん鍵がかかっており、ドアを開けても誰もいません。暗闇が私を出迎えていました。
「こんなはずじゃなかった」そう泣きながら毎日を淡々と過ごしていました。
実家の温かい雰囲気に、思わず…
そんな中、用事もあって実家に帰る機会がありました。
鍵のかかっていない玄関を開けると、そこには笑顔の両親が。
私の大好物だらけの食事に、暖かい雰囲気。
私は今まで、こんなに愛情をかけてもらっていたんだなと思うと、たまらなくさみしくなりました。
帰る時間になってもなかなか帰りたがらない私をみて、母はそっと言いました。
「仕事、辛いの?いつでも帰ってきていいからね。」
その言葉に私は堰を切ったように泣き出しました。親はいつまでも、背中を撫でて励ましてくれました。
改めて感じた、家族への感謝の気持ち
寮へ戻るとき、持ちきれないくらいのおかずやご飯をもたせてくれました。
「私には、帰れる場所がある」
そう思うととても心強く、それ以降の厳しい指導もなんとか耐えることができました。
就職と同時に家を出たおかげで、親のありがたさを感じることができました。今は親に対して、感謝の気持ちでいっぱいです。