テーマ:忘れられない患者さん
初めての看取り
平和な病棟で出会った末期がんのおばあちゃん
産婦人科と耳鼻科・肛門科の混合病棟で勤務しているときの話です。
科目的には亡くなる患者さんはほとんどなく死とは無縁に近い感じの、生まれてくる命の病棟で皆さんが1週間前後で退院するような平和な病棟でした。
あまり受け持たない重症患者に戸惑ってしまった
その中で唯一、卵巣がんで抗がん剤の治療のため入退院を繰り返している60代の方がいたのですが、手におえないくらい進行し、イレウスになりお腹が風船のように膨らんで動くことすら困難な状態になりました。
新人で元気な患者さんとばかり接していた私はどう接していいのか困惑していました。
そんな新人にもその患者さんは苛立たしさをみせずに優しく接してくれました。
腹痛に顔をゆがめ、ベッド上の排泄のため固くて大きな便器を挿入するたびに辛そうでやせ細って骨ばかりになった体には酷でした。
私は少しでも安楽に排便ができないものかと、病棟の円座にビニール袋をかぶせて便器の代用。夜就寝前は、足浴をしたりマッサージをしたり患者さんに寄り添うという看護を学ばせていただきました。
そして最期の時は、私がバイタルを測っているそのそばで急変し、息を引き取っていきました。
最期の時まで色々と学びをさせてくださったその患者さんを通して、看護師をしていく上での覚悟を決めた出来事だったと今では思っています。