【精神】Aさん(29歳、女性)は、20歳で短期大学を卒業するのと同時に就職したが「会社に行きたくない」と言い出して、2か月で仕事を辞めた。その後は、自宅で何もせずに過ごしていた。昼夜逆転の生活が長く続いたが、ある日、夜遅く帰宅した父親と就職のことで激しい口論となった。それ以来、昼も夜も起きていて、食事も摂らずに自室に引きこもり、ぶつぶつと独り言を言ったり、笑ったりするようになった。心配した母親に伴われて受診し、統合失調症と診断された。Aさんの表情は険しく、常に周囲を警戒している。医師が入院を勧めたが、Aさんは興奮し、母親にしがみつきながら「入院はいや。家に連れて帰って」と泣き叫んだ。さらに、診察室のドアの方に走って逃げようとしたため、看護師が制止しようとすると、Aさんはその看護師を突き飛ばした。入院後1か月が経過し、Aさんは看護師に時々笑顔を見せるようになってきた。Aさんは「毎日が退屈」、「早く退院したい」と言うようになった。Aさんを交えたカンファレンスで、病棟で週1回行われている退院支援グループへの参加を検討した。このグループでは、対人関係や社会生活を営むのに必要なスキルの学習が行われている。退院支援グループに参加し始めてから1か月が経過し、Aさんはグループの他の参加メンバーとも打ち解けて話をするようになった。5回目の参加で、Aさんは「父親は、私の苦しさを分かってくれない。退院しても、また言い争いになりそう」と話した。
グループに参加しているAさんの担当看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.Aさんの気持ちを積極的に代弁する。
2.終了後、Aさんに反省点を報告してもらう。
3.Aさんの話がテーマとずれないよう介入する。
4.Aさんに父親とのやり取りのロールプレイを提案する。
5.Aさんが自分の悩みを表現したことは意義があると話す。
―――以下解答―――
(解答)4,5
<解説>
1.(×)Aさん自身が自分の気持ちに気づけるように関わることが重要である。
2.(×)グループ活動参加中にAさんが反省点を報告できるようにする。
3.(×)話がテーマから逸脱しても、Aさん自身が自分の気持ちに気付ければよい。
4.(○)ロールプレイを通して、コミュニケーション上の問題にAさん自身が気付けるようにするとよい。
5.(○)Aさんが悩みを打ち明け、悩みを通して他者と関われるようになったことは進歩である。