【精神】Aさん(47歳、男性)は、統合失調症で20年間精神科病院に入院している。父親はすでに亡くなっており、80歳になる母親は病気がちのため、面会は年に1回程度である。Aさんは看護師の声かけに応じて、月に1回の病棟レクリエーションや週に2回の作業療法に参加している。それ以外の時間はほとんど病室のベッド上で寝て過ごしている。発病以来、薬物療法を続けており、時々飲み忘れることはあるが、ほぼ自己管理できている。病状は安定していることから、退院の話が出るようになった。Aさんは物を捨てられず、ベッドの周囲には私物やゴミの入った大きなビニール袋が足の踏み場もないほど積み上げられている。
Aさんがこのような状況にある原因で、可能性が低いのはどれか。
1.作業療法による疲労
2.病状に伴う意欲の低下
3.長期入院による施設症
4.向精神薬の副作用による倦怠感
―――以下解答―――
(解答)1
<解説>
1.(○)作業療法は週に2回というペースであるため、疲労するとは考えにくい。
2.(×)統合失調症の慢性期では、意欲低下や感情鈍麻等の固定した障害を残すことが多い。
3.(×)施設症(ホスピタリズム)とは、長期入院によって生活能力が低下してしまい、無関心や無気力などに陥り、退院して社会に戻る意欲をなくした状態をいう。
4.(×)向精神薬の副作用として、眠気や脱力感、倦怠感などがみられる。