まなび
  • 公開日: 2024/11/12

第114回看護師国家試験対策|1日3問国試ドリルの出題問題・解答・解説【状況設定問題】

2024年11月4日からスタートした1日3問国試ドリルは、月~金で1日3問ずつ配信しています。

このページでは、1日3問国試ドリルで配信した問題のうち、「状況設定問題」に該当する問題と解答・解説を掲載します。振り返りにぜひ活用してください。【※毎週更新予定】




11月8日配信問題

Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作<ADL>は、ほぼ自立している。
第109回(2020年)

問題1:Aさんは退院後に訪問診療と訪問看護を利用することになり、今後の支援の方向性を確認するため、退院前にAさんと家族も参加するカンファレンスを開催した。 カンファレンスで確認する内容で最も優先度が高いのはどれか。

1.看取りの場所
2.ストーマパウチの交換方法
3.訪問リハビリテーションの必要性  
4.退院後の生活でAさんが行いたいこと

解答・解説

1.(×) すでに自宅で過ごしたいと話しているため、カンファレンスで確認する内容として優先度は低い。
2.(×) ストーマを造設したのは4年前であるため、カンファレンスで確認する内容として優先度は低い。 
3.(×) リハビリが必要であることを示す記述はないため、不適切である。 
4.(〇)Aさんの希望を確認し、どのような支援が必要か考えることが最も優先度が高い。


問題2:退院後、Aさんは痛みが強くなってきたため、主治医はオキシコドン塩酸塩を増量したが、Aさんは眠気が強くなり「薬を飲みたくない」と訴えた。そのため、フェンタニル貼付剤に切り替え、レスキュー薬としてフェンタニルクエン酸塩舌下錠が処方された。訪問看護師によるAさんの家族への疼痛緩和のための薬物療法の指導で適切のはどれか。

1.副作用で便秘が生じた場合には貼付しない。
2.残ったオキシコドン塩酸塩は自宅で保管する。
3.レスキュー薬は使用間隔を気にせず使用してよい。
4.フェンタニル貼付剤の交換時に家族が貼付面に触れないようにする。

解答・解説

1.(×) 疼痛緩和を中止するのではなく、緩下剤の処方を医師に相談する。 
2.(×) オキシコドン塩酸塩は麻薬のため、病院または薬局に返却する必要がある。
3.(×) レスキュー薬は、経口投与の場合は1時間ごと、持続静注・持続皮下注の場合は15~30 分ごとの投与間隔が必要である。 
4.(〇)フェンタニルは麻薬であるため、家族は貼付面に触れないように指導する。


問題3:退院後3か月。Aさんの食事や水分の摂取量は減り、徐々に傾眠傾向になってきた。Aさんの妻は訪問看護師に「少し怖いが、できればこのまま自宅で看ていきたい」と話した。Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応で適切なのはどれか。

1.高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
2.Aさんの清潔ケアは看護師が行うことを妻に伝える。
3.今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。
4.Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える。

解答・解説

1.(×) 延命の希望はないため、不適切である。 
2.(×) 清潔ケアは家族が行えるケアであり、Aさんと残された時間を一緒に過ごす貴重な機会である。 
3.(〇) 今後予測される変化を事前に知っておくことは、妻にとって不安の緩和になるとともに、心の準備につながる。  
4.(×) 家族にもそれぞれ仕事や学校など生活があるため、不適切である。


11月15日配信問題

Aさん(29歳、初産婦)は、妊娠37週0日で2,780gの男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数150/分、四肢を屈曲させて啼泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。
第110回(2021年)

問題1:このときの児のアプガースコアは何点か。

1.10点
2.8点
3.6点  
4.4点

解答・解説

1.(〇) 心拍数100/分以上、啼泣、筋反射活発、顔面清拭で激しく啼泣、全身ピンク色と10点満点である。
2.(×) 
3.(×)
4.(×)

問題2:出生後1時間。児の状態は、直腸温37.0℃、呼吸数40/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(room air)、四肢冷感やチアノーゼを認めない。哺乳は開始していない。Aさんの経過は順調である。このときの児への看護で適切なのはどれか。

1.ビタミンK2シロップを経口投与する。
2.風通しの良いところに児を寝かせる。
3.先天性代謝異常検査を行う。
4.早期母子接触を行う。

解答・解説

1.(×)ビタミンK2シロップは出生後、数回の哺乳を行った後に経口投与される。その後、生後1週間もしくは退院時に2回目、1か月健診時に3回目を経口投与する。
2.(×)風通しが良いと、対流により児の熱喪失を招くため、体温が低下する原因となる。
3.(×)先天性代謝異常検査は生後5日から7日目に行う。  
4.(〇)母児の愛着形成促進のため、母体や新生児に状態に問題がなければ早期母子接触を行う。

問題3:産褥4日。Aさんは、血圧112/80mmHg、脈拍76/分、Hb11.2g/dL、Ht37.0%。子宮底を臍下4横指に硬く触れる。悪露は赤褐色で少量。凝血の混入や悪臭はない。乳房は緊満しており移行乳が分泌している。Aさんは「夜中も3時間ごとくらいに授乳をするためほとんど眠れていません」と話している。表情は穏やかである。Aさんのアセスメントとして適切なのはどれか。

1.貧血である。
2.産後うつ病である。
3.子宮復古は順調である。
4.乳汁分泌が遅れている。

解答・解説

1.(×) Hb11.2g/dL、Ht37.0%のため、貧血には該当しない。
2.(×) 産後うつ病を示す所見はない。 
3.(〇) 子宮底臍下4横指で、悪露の量も減り、異常を示す所見はないため、子宮復古は順調である。
4.(×) 産褥4日で乳房の緊満あり、移行乳が分泌されており、授乳間隔も3時間あいているため、乳汁分泌は順調である。


11月22日配信問題

Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆嚢炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3 ℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。
第109回(2020年)

問題1:Aさんの病室環境で適切なのはどれか。

1.座った時に膝関節が90度になる高さにベッドを調整する。
2.点滴スタンドをベッドに固定する。
3.ポータブルトイレを設置する。  
4.離床センサーを設置する。

解答・解説

1.(〇) ADLは自立しており、トイレ歩行の許可も出ているため、立ち上がりやすい高さにベッドを調節するのは適切である。
2.(×)点滴スタンドはキャスター付きのものを使用し、トイレ歩行を妨げないようにする。
3.(×)トイレ歩行の許可は出ているため、不適切である。
4.(×)認知機能に障害はないため、離床センサーは不要である。

問題2:入院後2日、妻がAさんについて「入院してからよく寝ています。時々ここが病院だとわからないようです。話しかけても気づかず、天井を眺めていることもあるし、しゃべり続けることもあります」と看護師に訴えた。Aさんのバイタルサインは、体温36.9 ℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧144/80mmHg。Aさんの状態で最も考えられるのはどれか。

1.うつ病
2.せん妄
3.ナルコレプシー
4.急性ストレス反応

解答・解説

1.(×)うつ病は、抑うつ気分と興味・喜びの喪失などの症状がみられる。
2.(〇) せん妄は高齢者に多い意識障害であり、入院や手術をきっかけに発症する。注意力の低下、見当識障害などがみられる。
3.(×)ナルコレプシーは過眠症であり、日中の突然の強い眠気が特徴である。
4.(×)急性ストレス反応は、トラウマになる甚大なストレスに対する反応で、1か月未満で消失するものをいう。

問題3:入院後3週、Aさんは症状が改善し、退院することになった。Aさんは「退院したら孫たちと温泉旅行をして、おいしいものをたくさん食べることが楽しみです。何か気を付けることはありますか。」と看護師に話した退院時のAさんへの指導で適切なのはどれか。

1.「上腹部の痛みがあったら受診してください」
2.「食事内容の制限はありません」
3.「運動は控えてください」
4.「入浴しないでください」

解答・解説

1.(〇) 急性胆嚢炎の90%以上は胆嚢内の胆石によるものである。再発する可能性があるため、上腹部痛や背部痛が見られたら受診するよう指導する。
2.(×)胆石症の予防には脂質摂取の制限が有効である。
3.(×)運動制限の必要はない。
4.(×)入浴禁止の必要はない。

11月29日配信問題

A君(11歳)は両親と3人で暮らしている。5歳で気管支喘息bronchialasthmaと診断され、現在は抗アレルギー薬とステロイドの吸入薬が処方されている。本日、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親と救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。受診時のバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数32/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(roomair)であった。
第112回(2023年)

問題1:A君の気管支喘息の発作強度はどれか。

1.小発作
2.中発作
3.大発作 
4.呼吸不全

解答・解説

1.(×)小発作の場合、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は96%以上となり、安静時の呼吸困難感はなく、喘鳴も軽度である。A君に当てはまらない。
2.(〇)A君は呼吸困難感があり、著名な喘鳴、途切れ途切れの会話、呼吸数の増加がみられ、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%であることから、中発作(SpO292~95%)と判定される。
3.(×)大発作の場合、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は91%以下となり、安静時にも呼吸困難感が著明で歩行が困難となる。A君に当てはまらない。
4.(×)呼吸不全の場合、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は91%未満となり、話すこともできなくなる。A君に当てはまらない。

問題2:救急外来で、吸入と点滴静脈内注射が行われA君の症状は軽快した。A君は、医師や看護師による問診には素直に答えているが、心配する母親には「病院に来るほどじゃないんだよ。入院はしないからな」と発言し、反抗的な態度をとっている。このときの看護師の対応で適切なのはどれか。

1.A君に発言の理由を尋ねる。
2.A君ではなく母親から病状を聴取する。
3.母親への態度は問題行動であるとA君に忠告する。
4.親子関係に問題があるのではないかと母親に伝える。

解答・解説

1.(〇)A君は第二次反抗期の時期であり、母親への発言や態度は最も近しい親への反抗と取れる。しかし、発言から病気や治療に対しての認識が不十分であることがうかがえるため、A君に発現の理由を尋ねるのは適切である。
2.(×)A君は11歳であり、病状を自分の言葉で伝えられる年齢である。自分で病状を説明できるようになっていく必要があるため、母親からの病状の聴取は不適切である。
3.(×)A君の発言や態度にはA君なりの理由があるため、一方的に忠告するのは不適切である。
4.(×)第二次反抗期にみられる親子関係であり、問題があると母親に伝えるのは不適切である。

問題3:A君は1年前から気管支喘息bronchialasthmaの急性増悪〈発作〉を起こして救急外来の受診を繰り返していることが分かった。看護師がA君に今の症状に対する認識を確認すると「喘息発作が起きていて、家で吸入をしても治まらなかった」と答えた。学校生活や服薬については「学校は好きだけど、体育は嫌だな。吸入が面倒くさい。吸入しなくても発作が起きなければいいんでしょ」と話した。看護師は、急性増悪〈発作〉を繰り返しているA君のセルフケアヘの支援をする必要があると考えた。A君への看護師の対応で最も適切なのはどれか。

1.毎日運動するよう勧める。
2.お薬手帳を持ち歩くよう伝える。
3.A君と服薬管理について話し合う。
4.喘息発作があったことを母親から担任の先生に伝えるよう提案する。

解答・解説

1.(×)A君は気管支喘息の急性増悪を繰り返している状態であり、運動の頻度を看護師個人が決めるのは不適切である。
2.(×)救急外来への受診を想定してお薬手帳を持ち歩くのは適切だが、服薬管理について話し合うほうが優先される。
3.(〇)気管支喘息は抗アレルギー薬とステロイドの吸入薬を医師の指示通り続けることで炎症を抑え、発作を予防できる。A君の発言から、アドヒアランス不良(服薬管理ができていない)であることがわかるため、服薬管理について話し合うのは適切である。
4.(×)A君は自分で伝えられる年齢であり、母親からではなく、Aくんから伝えるように提案する。

12月6日配信問題

Aさん(58歳、男性、会社員)は、身長175cm、体重73kgである。Aさんは、健康診断の胸部エックス線撮影で異常陰影を指摘され、3週前に胸部造影CT検査を受けた。左肺下葉に約8mmの病変が見つかり、精密検査の結果、肺癌(T1N0M0)と診断され、本日、手術目的で入院した。咳嗽、息苦しさ、喀痰はない。喫煙歴があり、20年間20本/日、禁煙後18年である。バイタルサイン:体温36.9℃、呼吸数14/分、脈拍72/分、整、血圧136/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和(SpO2)96%(room air)。検査所見:赤血球510万/μL、Hb 15.6g/dL、Ht47%、白血球6,200/μL、血小板32万/μL、総蛋白7.7g/dL、アルブミン4.2/dL、空腹時血糖102mg/dL。呼吸機能所見:%VC76%、FEV1%73%。
第113回(2024年)

問題1:入院時の所見で正しいのはどれか。

1.頸部リンパ節の腫脹
2.拘束性換気障害
3.低栄養 
4.貧血

解答・解説

1.(×)頸部のリンパ節腫脹を示す所見の記載はない。
2.(〇)Aさんは%VC76%、FEV1%73%であり、拘束性換気障害である。
3.(×)Aさんはアルブミン4.2g/dlと正常値内であり、低栄養ではない。アルブミンが3.5g/dl以下では低栄養状態にあると考えられる。
4.(×)Aさんはヘモグロビン(Hb)15.6g/dlと正常値内であり、貧血ではない。男性は13g/dl以下、女性は12g/dl以下が貧血である。

問題2:Aさんは、入院2日目に胸腔鏡下左下葉切除術を受ける予定である。Aさんは看護師に「全身麻酔で手術を受けるのは初めてです。医師から手術の説明はあったけれど、合併症についてもう一度教えてもらえますか」と質問した。Aさんに生じる可能性が高い合併症はどれか。

1.気胸
2.反回神経麻痺
3.Horner(ホルネル)症候群
4.Pancoast(パンコースト)症候群

解答・解説

1.(〇)胸腔鏡下手術では、胸膜腔に内視鏡を挿入するため、気胸のリスクがある。
2.(×)肺がん手術ではリンパ節郭清の際に反回神経麻痺のリスクがあるが、Aさんは左下葉切除術のため、リスクは低いと考えられる。
3.(×)ホルネル症候群は肺尖部(肺野の一番上の部分)のがんの神経への浸潤やリンパ節郭清の際の神経損傷によって生じる場合があるが、Aさんは左下葉で肺底部のため、リスクは 低いと考えられる。
4.(×)パンコースト症候群は肺尖部のがんが神経や胸膜などに浸潤することで、患側の肩から腕の放散痛、Horner症候群、手指筋肉の萎縮などの症状が生じる。手術の合併症として考えにくい。

問題3:Aさんの手術は予定通りの術式で行われ、肺癌は術前診断通りの病期であった。Aさんの術後経過は良好であり、退院日が決定した。Aさんのバイタルサインは、体温36.3℃、呼吸数18/分、脈拍66/分、整、血圧134/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%(room air)であった。退院後の生活指導で正しいのはどれか。

1.「インフルエンザワクチンは接種できません」
2.「左手で重い荷物を持たないでください」
3.「少しずつ活動量を増やしてください」
4.「自宅で酸素吸入を行ってください」

解答・解説

1.(×)肺野切除後もインフルエンザワクチンの接種は可能である。肺がん患者がインフルエンザに罹患した場合、死亡リスクが高いため、本人や家族のワクチン接種が望まれる。
2.(×)乳がん手術などで腋窩リンパ節郭清を行った場合には、患側の手で重い荷物を持つことは避けるべきだが、Aさんの場合は該当しない。
3.(〇)術後経過も順調でバイタルサインに異常はないため、少しずつ活動量を増やすよう伝えるのは適切である。
4.(×)経皮的動脈血酸素飽和度はroom airで97%あり、自宅での酸素吸入の必要性はない状態である。

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