編集部セレクション
  • 公開日: 2022/12/23

老健の現実、在宅を拒む家族…

「ラウンジ☆セレクト」は「ラウンジ」で盛り上がった話題と、そこに寄せられたみなさんのご意見を紹介しています。

 今回のトピック 
とある老健で働いています。
原則としては入所期間は半年迄とはなっているのですが、1~2年入所している人はザラで、中にはそれ以上入所している人も居ます。

本来ならば、リハビリをして在宅に復帰する為の施設なんですが、いざ在宅へという話を相談員が家族へすると
「まだ自宅の改装が済んでいない」
「子供が小さいので面倒看れない」
「全員働きに出ているので面倒看れない」etc…と、家族もなんだかんだ理由をつけて、あからさまに拒否反応を示します。
要するに「死なない程度に生きていてさえくれればいい」「でも、帰って来てもらっても困る」という本音がありありとしています。

皆様が一生懸命看護をなさっても、家族にしてみれば、いっそのこと、そのまま入院しててくれないかな、あるいは、また、施設に入ってくれないかなくらいにしか思っていない家族が多い現実に、何とも言えなくなってしまいます。
これって、私の働いている施設だけでなく、どこの施設(老健・特養など)でも同じなのでしょうか?

 

老健の現実は甘くない

■こんな患者さんが居ます

療養型に勤務していますが、うちの病棟には、住所が病院の方が2人おられます。入院当初のカルテなんて、黄ばんでいるし、看護記録のやり方も、今と全く違うので、歴史の深さを感じます。

以前働いていた老健でも5年位居てる方もいました。家族が次の居場所を考えていないし施設のケアマネジャーも家族に説明していないような…

精神科は超長期入院者が多数…精神科には30年・40年入院している人がいます。いわゆる社会的な入院患者です。これは誰が悪いという訳ではなく国がそうしてきた現実だと思います。

■耳を疑う、患者家族の言葉

生命保険の満期が近づいているから、それまでに死んでと本人に言う家族がいました。結局、満期後一ヶ月で亡くなりました。

お金がないから、何もしないでと医師に言う家族、食道癌で食事できないけどADL自立でデメンツあるけど危険行動ない患者でした。医者は家族の希望通りに医療行為中止、つまりは点滴も中止、病院内で餓死させるわけです。倫理的に問題では?と上にあげましたが無駄でした。

朝から夕方まで家族が入所者に寄り添って、職員の対応が気に入らなかったりすると文句を言うので、家族と共に介助を促すが拒否。お金を払っているから、職員が、介護するのが当たり前と言う。文句は言っても、手は出さない と言う方が多いですね。

やっと決まった退院日も「家族旅行に行く予定なので、お盆明けにしてください」とか!主治医にも家族にも絶句でした。

年金を受給されてるようで死なないようにと仰る家族も居ます。100歳近い患者さんです。

■「医療」って何だろう

施設からの寝たきりの高齢者の入院はザラですね。病院では、酸素、点滴、抗生剤…マーゲンチューブ…挙げ句バルーン入れて尿カウント。貧血進めば輸血。本人は寝たきり。

救急外来で勤務してました。必ず施設から看護師や介護者が付いて救急搬送される方が多かったです。肺炎や尿路感染なので病院ではフルコースで治療を行いますが、この患者さんにとって最善の治療なんだろうかっていつも疑問に思ってました。

施設に戻るために胃ろうを作らないと帰れないっていう現状。私は、そんなの嫌です。

在宅に向けて、立ちはだかる壁

■家族の形の変化

核家族化で、祖父母と暮らしたこともない人が、急な病気や障害のために突然に生活をともにしなくてはならなくなった時、動揺だけでなく、実際の問題として急に家族で支えられるかというと無理だとも思います。

僕も国が支援する在宅でってのは賛成です。だって家に帰りたいじゃないですか。ただ、誰が介護をするかっていったら家族になるわけで、その家族が倒れたら誰が介護するの?って話になるわけ。家族の介護が長続きしなかったら在宅で看るって出来ないんじゃないかなって思います。

今のように施設が十分に整っていなかった時代は在宅でお嫁さんや娘さんがお世話にあたる家庭が多かったと聞きます。その時の大変さを知る方々が、自分の子供たちやお嫁さんには親の世話で負担をかけたくないとおっしゃることが多いように感じます。

独居でひどい認知がある人が何人かいらっしゃいます。その方が具合が悪くなった時、家族に連絡しても、忙しいからすぐに動けないと断られることもあります。

■金銭面の負担は増えるばかり…

治療が終わっても病院にいた方が安いからと色々な理由を付けたり、役所に病院のあることないことを言い何とか入院を引き延ばそうとするかたも少なくなくありません。

消費税だけでなく、今後上がっていく税金、医療費の一部負担額は今後もじわじわ上がっていくと思われます。金銭面でも、10年、20年前より負担は大きくなってきています。その現実を抱えた方々が多いのではないでしょうか?

急性期ですが、医師は治療終了後の方針決定に悩むようです。「○○施設は高額だから、といって自宅で面倒みるのも嫌。」と。いざ在宅介護に決定し、帰っても数日で再入院。家族は笑顔で「お願いしますね。」

関連トピック:「 帰って来ても困る・・・
イラスト・なしま

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