• 公開日: 2022/11/11

【連載】看護師 国家試験対策・過去問

第112回看護師国家試験対策|1問1答マラソン【解答・解説アーカイブ】第62~91問

2022年9月1日からスタートした第112回看護師国家試験対策「1問1答マラソン」にご参加いただきありがとうございます!

このページでは、過去1週間に出題した問題と解答・解説を、まとめて掲載していきます!
【週1回ずつの毎週更新です】






■2022年11月1日~11月30日出題分


問題62:機能別看護方式の説明で正しいのはどれか。

1.勤務帯ごとに各看護師が担当する患者を決めて受け持つ。
2.内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
3.1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
4.患者を複数のグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。


解答:2


1.(×)勤務帯ごとに各看護師が担当患者を決めて受け持つという看護方式はない。
2.(〇)機能別看護方式とは、日々の基本的な業務について担当を決めて看護を行う方法である。
3.(×)1人の看護師が1人の患者を継続的に受け持ち、責任をもつ看護方式はプライマリーナーシングである。
4.(×)患者を複数のグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ看護方式は固定チームナーシングである。
第111回(2022年)


問題63:患者と看護師の関係において、ラポールを意味するのはどれか。

1.侵されたくない個人の空間
2.人間対人間の関係の確立
3.意図的な身体への接触
4.自己開示


解答:2


ラポールとは、「2人の人の間にある相互信頼の関係」のことである。
1.(×)侵されたくない個人の空間は、パーソナルスペースである。
2.(○)ラポールとは、人間対人間の関係の確立である。
3.(×)意図的な身体への接触は、タッチングである。
4.(×)自分自身の情報をありのままに相手に伝えることである。
第106回(2017年)


問題64:Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。

Aさん(68歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため在宅療養中で、気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。
1.医療保険から給付される。
2.特別訪問看護指示書を受けて実施される。
3.複数の訪問看護事業所の利用はできない。
4.理学療法士による訪問は給付が認められない。


解答:1


1.(〇)筋萎縮性側索硬化症と人工呼吸器を使用している状態は「指定訪問看護に係る厚生労働大臣の定める疾病等」に含まれるため、訪問看護については医療保険が適用される。
2.(×)特別訪問看護指示書は、利用者が急性感染症等の急性増悪期、末期の悪性腫瘍等以外の終末期または退院直後で、週4日以上の頻回の訪問看護の必要がある場合に交付されるものである。
3.(×)Aさんは医療保険による訪問看護を受けているため、週4日以上、2か所の訪問看護ステーションから訪問を受けられる。週7日の訪問看護が計画されている場合は、3か所の訪問看護ステーションから訪問できる。
4.(×)理学療法士や作業療法士言語聴覚士による訪問看護も、医療保険の給付対象になる。
第109回(2020年)


問題65:心電図検査における肢誘導はどれか。2つ選べ。

1.Ⅰ
2.V1
3.V2
4.V3R
5.aVR


解答:1、5


四肢誘導は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、aVR、aVL、aVFである。
1.(○)
2.(×)
3.(×)
4.(×)
5.(○)
第108回(2019年)


問題66:日本の政府開発援助(ODA)の実施機関はどれか。

1.世界保健機構(WHO)
2.国際協力機構(JICA)
3.国連開発計画(UNDP)
4.赤十字国際委員会(ICRC)


解答:2


1.(×)世界保健機関〈WHO〉は1948年に設立され、国連システムの中にあって保健について指示を与え、調整する機関である。
2.(〇)国際協力機構〈JICA〉は日本の政府開発援助(ODA)の実施機関として、開発途上国への国際協力を行う。
3.(×)国連開発計画〈UNDP〉は、開発途上の国々がその開発目標を達成できるように支援する機関である。
4.(×)赤十字国際委員会〈ICRC〉は、国際人道法に基づき、戦争、内戦または国内騒乱の犠牲者に対し人道的支援を行う機関である。
第111回(2022年)


問題67:便秘を訴えている患者の打診のアセスメント項目で適切なのはどれか。

1.固い腫瘤
2.筋性防御
3.叩打痛
4.鼓腸


解答:4


1.(×)打診では腫瘤の固さは判断できない。
2.(×)打診では筋性防御の有無は判断できない。
3.(×)叩打痛は椎体圧迫骨折や尿路結石症などの場合に見られる症状だが、便秘の場合に出現する可能性は低い。
4.(○)鼓腸とはガスや便の貯留によって腹部が膨満している状態であり、打診すると鼓音がする。
第108回(2019年)


問題68:トリアージの結果、看護師の初期対応として優先されるのはどれか。

午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。A君は避難時に転倒し、左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていた。バイタルサインに異常はない。Bさんは避難する際にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。右頬部に2cm×2cm、右上肢に5cm×10cmの紅斑と水疱を認める(burn)熱傷を負っていた。バイタルサインに異常はないが、(burn)熱傷部位の疼痛を訴えていた。
トリアージの結果、看護師の初期対応として優先されるのはどれか。
1.A君の既往歴の聴取
2.A君への鎮痛薬の準備
3.Bさんの気道確保の準備
4.Bさんの(burn)熱傷部位の冷却


解答:3


1.(×)Bさんは、顔面の熱傷や鼻毛の一部が焦げている状態から気道熱傷の可能性があり、気道閉塞による換気障害や窒息のおそれがある。気道確保の準備が優先される。
2.(×)
3.(〇)
4.(×)
第111回(2022年)


問題69:Aさんの生活様式を尊重した訪問看護師のこのときの声かけで適切なのはどれか。

Aさん(79歳、男性)は、1人暮らし。要介護2の認定を受け、訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と話した。Aさんの生活様式を尊重した訪問看護師のこのときの声かけで適切なのはどれか。
1.「外に出て気分転換しませんか」
2.「昼間は布団をたたみましょう」
3.「介護保険でベッドの貸与を受けましょう」
4.「必要なものを身近に置いているのですね」


解答:4


1.(×)初回の訪問であり、Aさんとの信頼関係の構築が優先される。Aさんのライフスタイルを受け入れることが大切である。
2.(×)
3.(×)
4.(〇)
第110回(2021年)


問題70:看護過程における情報収集で適切なのはどれか。

1.既往歴は情報に含めない。
2.看護計画立案後も情報収集を継続する。
3.看護問題を特定してから情報収集を開始する。
4.不安の内容は閉じた質問で情報収集する。


解答:2


1.(×)既往歴は重要な情報である。
2.(〇)看護計画立案後も情報収集を継続することが必要である。
3.(×)情報収集した内容を元に看護問題を特定する。
4.(×)不安の内容は開かれた質問(open question)で情報収集する。
第110回(2021年)


問題71:Aちゃん(5歳、男児)は、2日前に39℃に発熱して両側の耳下腺部の痛みを訴えた。

昨日から同部位の腫脹がみられ、頭痛を訴えている。夜間に嘔吐が4回あり、発熱と頭痛が持続したため、本日父親に連れられて来院し、髄膜炎の疑いで個室に入院した。通っている幼稚園には、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)罹患児が数名いる。
既往歴:特記すべきことはない。予防接種歴:年齢相応の定期接種はすべて済んでいる。おたふくかぜワクチンは未接種である。家族歴:両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある。
妹のBちゃん(3歳)は、年齢相応の定期予防接種は済んでいるが、おたふくかぜワクチンは未接種である。また、流行性耳下腺炎罹患の既往はない。
身体所見:体温39.2℃、項部硬直あり。両側耳下腺部の腫脹と圧痛あり。胸部聴診で異常なし。腹部は平坦で軟、圧痛なし。Kernig〈ケルニッヒ〉徴候あり。検査所見:白血球8760/μL。血清アミラーゼ834U/L(基準44~132)、CRP0.1mg/dL。検査の結果、Aちゃんはムンプス髄膜炎と診断された。父親から看護師に「先ほど主治医の先生から、面会やAの入院中の生活に制限があると聞きました。詳しく教えてください」と質問があった。
看護師の説明で適切なのはどれか。
1.「親の面会は可能です」
2.「Bちゃんの面会は可能です」
3.「Aちゃんはプレイルームで遊べます」
4.「Aちゃんは病室内でガウンを着てもらいます」


解答:1


1.(〇)両親は流行性耳下腺炎罹患の既往があるため、抗体を保有していると考えられる。面会は可能である。
2.(×)Bちゃんは、おたふくかぜワクチン未接種・流行性耳下腺炎罹患の既往なしのため、面会はできない。
3.(×)ほかの入院児への感染の可能性があるため、プレイルームの使用はできない。
4.(×)Aちゃん自身がガウンを着る必要はない。
第109回(2020年)


問題72:Aさんに対する看護師の対応で適切なのはどれか。

Aさん(85歳、女性)は、両側の感音難聴(sensorineural deafness)で「音は聞こえるけれど、話の内容が聞き取れないので困っています」と話した。Aさんに対する看護師の対応で適切なのはどれか。
1.大きな声で話す。
2.話の内容をより詳しく説明する。
3.Aさんが文字盤を使えるようにする。
4.看護師の口の動きが見えるように話す。


解答:4


1.(×)音は聞こえているので大きな声で話す必要はない。
2.(×)話の内容をより詳しく説明すると聞き取りにくくなってしまう 。
3.(×)音は聞こえているため 文字盤を使用する必要はない。
4.(○) 口の動きが見えるようにゆっくり話せば、口の動きからも話の内容を理解できる。
第106回(2017年)


問題73:Alzheimer〈アルツハイマー〉病で正しいのはどれか。

1.基礎疾患としてhypertension高血圧症が多い。
2.アミロイドβタンパクが蓄積する。
3.初期には記銘力障害はみられない。
4.MRI初見では前頭葉の萎縮が特徴的である。
5.脳血流シンチグラフィ所見では頭頂葉の血流増加がある。


解答:2


1.(×)アルツハイマー病の危険因子として、加齢や遺伝などがある。
2.(〇)アミロイドβタンパクの蓄積・沈着がアルツハイマー病の発症に深く関係している。
3.(×)初期から記銘力障害がみられる。
4.(×)MRI所見では、側脳室下角の拡大や海馬を含む側頭葉内側の萎縮がみられる。
5.(×)脳血流シンチグラフィ所見では頭頂葉の血流低下がみられる。
第111回(2022年)


問題74:この患者の看護で適切なのはどれか。

排泄行動が自立している入院中の男性高齢者が、夜間の排尿について「夜は何度もトイレに行きたくなります。そのたびにトイレまで歩くのは疲れます」と訴えている。
この患者の看護で適切なのはどれか。
1.おむつの使用
2.夜間の尿器の使用
3.就寝前の水分摂取の制限
4.膀胱留置カテーテルの挿入


解答:2


排泄の自立は人間の尊厳につながるため、排泄行動や制限を考慮し自立を目指した支援方法を検討する。
1.(×)排泄行動は自立しているためおむつは使用しない。
2.(○)トイレまでの歩行に疲労を感じているため、夜間の尿器使用を勧めるのは適切である。
3.(×)就寝前の水分制限で夜間の尿量が減少するかどうかはわからず、1日の飲水量や尿量を把握せずに飲水制限をおこなうと脱水の危険性があるため適切ではない。
4.(×)尿意はあり排泄行動が自立しているため、膀胱留置カテーテルは不要である。
第107回(2018年)


問題75:成熟期女性の受胎調節について適切なのはどれか。

1.経口避妊薬は女性が主導で使用できる。
2.コンドーム法の避妊効果は99%以上である。
3.基礎体温法は月経が不順な女性に有用である。
4.子宮内避妊器具〈IUD〉は経産婦より未産婦に挿入しやすい。


解答:1


1.(○)経口避妊薬は女性主導で使用できる避妊方法であり、飲み忘れがなければ妊娠確率は0.1%以下である。
2.(×)コンドームを使用していても、3〜14%の女性は妊娠している。
3.(×)基礎体温法は月経が規則的な女性に有用である。
4.(×)子宮内避妊器具〈IUD〉は未産婦より経産婦に挿入しやすい。
第106回(2017年)


問題76:Aさん(77歳、男性)は、妻(79歳)と2人暮らし。

5年前にアルツハイマー型認知症と診断された。現在のMMSEは18点。家では、食事は準備すれば自分で摂取できる。排泄は尿意や便意ともにあり、トイレで排泄できる。入浴は妻の介助でシャワー浴を行っているが、機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否する。Aさんはにぎやかな場所が苦手であり、また、時々1人で外に出て行ってしまい家に帰れなくなることがある。
最近、Aさんが妻の介助を激しく拒否し大声で怒鳴ることが多くなってきたため、妻は介護支援専門員に相談した。相談の結果、妻の介護負担を軽減する目的で、Aさんは通所介護を利用することになった。
通所の初日、Aさんは、初めての場所に戸惑った様子で、施設内を歩き回っている様子がみられた。妻は「夫がデイサービスに慣れるか心配です」と言って、Aさんの様子をみている。妻への看護師の声かけで最も適切なのはどれか。
1.「Aさんが好きなことをして過ごせるようにします」
2.「入口のドアに鍵をかけてあるので大丈夫です」
3.「毎回、Aさんに付き添ってください」
4.「Aさんには1人で居てもらいます」


解答:1


1.(〇)Aさんが新しい場所に慣れられるよう配慮していることをAさんの妻に伝え、不安を軽減することが望ましい。
2.(×)Aさんの妻はAさんの徘徊についてではなく、デイサービスに慣れるかを心配しており、不適切である。
3.(×)Aさんの妻の負担が大きく、介護負担の軽減にならないため、不適切である。
4.(×)他者との関わりを制限することは不適切である。
第110回(2021年)


問題77:看護過程における情報の分析はどれか。

1.脱水状態である。
2.尿比重は1.030である。
3.痛みは1~10の尺度で8である。
4.左腓骨骨折によるシーネ固定をしている。


解答:1


1.(〇)「脱水状態である」は、情報を元に分析した結果である。
2.(×)
3.(×)これらは、看護過程に必要な「情報」である。
4.(×)
第109回(2020年)


問題78:訪問看護師が行う指導で適切なのはどれか。

Aさん(75歳、男性)。1人暮らし。慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉のため、2年前から在宅酸素療法を開始し、週に2回の訪問看護を利用している。訪問看護師はAさんから「最近、洗濯物を干すときに息が苦しくて疲れるが、自分でできることは続けたい」と相談された。
Aさんの労作時の息苦しさを緩和する方法について、訪問看護師が行う指導で適切なのはどれか。
1.労作時は酸素流量を増やす。
2.呼吸は呼気より吸気を長くする。
3.動作に合わせて短速呼吸をする。
4.腕を上げるときは息を吐きながら行う。


解答:4


1.(×)急に、高濃度の酸素を吸入するとCO2ナルコーシスになる可能性があるため、酸素流量は医師の指示通りとする。
2.(×)呼吸は吸気より呼気を長くする。
3.(×)動作に合わせてゆっくり呼吸を行う。
4.(○)腕を上げるときは息を吐きながら行う。
第107回(2018年)


問題79:災害に関する記述で正しいのはどれか。

1.災害時の要配慮者には高齢者が含まれる。
2.人為的災害の被災範囲は局地災害にとどまる。
3.複合災害は同じ地域で複数回災害が発生することである。
4.発災直後に被災者診療を行う場では医療の供給が需要を上回る。


解答:1


1.(○)平成25年6月の災害対策基本法の一部改正により、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する人を「要配慮者」として、避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられた。
2.(×)人為的災害には、化学工場の火災や有害物質の流出といった水質汚染事故や施設事故なども含まれるため、被害が広範囲に及ぶことがある。
3.(×)複合災害は、地震や津波などの災害が同時または時間差で発生することである。
4.(×)発災直後は医療資源や人員が限られるため、医療の需要が供給を上回る。
第108回(2019年)


問題80:30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。

1.基礎代謝率
2.最大換気量
3.細胞内水分量
4.神経伝導速度


解答:2


1.(×)30歳を100%とした場合、老年期の基礎代謝率は80%程度である。
2.(〇)30歳を100%とした場合、老年期の最大換気量は50%以下に低下する。
3.(×)30歳を100%とした場合、老年期の細胞内水分量は80%程度である。
4.(×)30歳を100%とした場合、老年期の神経伝達速度は90%程度である。
第111回(2022年)


問題81:健康寿命の説明で適切なのはどれか。

1.生活習慣病の予防は健康寿命を伸ばす。
2.2013年の健康寿命は2011年よりも短い。
3.2013年の健康寿命は女性より男性のほうが長い。
4.平均寿命と健康寿命の差は健康上の問題なく日常生活が出来る期間である。


解答:1


1.(○)生活習慣病の予防は、健康寿命を伸ばす。
2.(×)2013年の健康寿命は、2011年よりも長い。
3.(×)2013年の健康寿命は、女性の方が男性より長い。
4.(×)平均寿命と健康寿命の差は、日常生活に制限のある不健康な期間を意味する。
第108回(2019年)


問題82:人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。

Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌と診断され、腹会隠式直腸切除術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。
術後10日、Aさんは退院日が決まり、「落ち着いたら仕事に復帰します。1人暮らしなので、自分で人工肛門を管理しないといけないですね」と述べた。
Aさんの退院に際し、人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。
1.「面版は1日2回交換してください」
2.「装具の交換は滅菌手袋を使用してください」
3.「面板除去部の皮膚はお湯で洗浄してください」
4.「定期的に人工肛門の大きさを確認してください」


解答:4


1.(×)装具を交換するタイミングには個人差があるが、およそ4〜5日に1回の交換である。頻繁な交換は皮膚トラブルの原因になるため、面板のはがれなどがなければ、1日2回交換する必要はない。
2.(×)装具の交換に滅菌操作は必要ない。
3.(×)お湯のみで洗浄すると、皮膚トラブルを起こす可能性がある。37〜40℃程度のぬるま湯を使用し、よく泡立てた石鹸で優しく洗浄する。
4.(◯)面板のホールカットが小さすぎると、ストーマを傷つけたりうっ血させたりすることがある。退院後も定期的にストーマのサイズを計測し、適切なホールサイズにカットする必要がある。
第111回(2022年)


問題83:Aさんへの経腟超音波検査の説明で正しいのはどれか。

Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。Aさんへの経腟超音波検査の説明で正しいのはどれか。
1.検査が終了するまで絶飲食にする。
2.検査前に排尿するよう促す。
3.検査は側臥位で行う。
4.検査後1時間は安静にする。


解答:2


1.(×)絶飲食にする必要はない。
2.(〇)経腟超音波検査では、膀胱内に尿が溜まっていないほうが鮮明に描出できる。経腹超音波検査では、膀胱に尿を溜めたほうが描出しやすい。
3.(×)検査は内診台上で砕石位で行う。
4.(×)検査後の安静は必要ない。
第110回(2021年)


問題84:看護師が一連の処置の準備をするにあたり、最も重要な物品はどれか。

Aちゃん(生後10ヶ月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15~20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1℃であった。
Aちゃんへの腹部超音波検査の結果、腸重積症の診断が確定し、静脈内注射による鎮静化で高圧浣腸が行われることになった。
看護師が一連の処置の準備をするにあたり、最も重要な物品はどれか。
1.潤滑ゼリー
2.替えのおむつ
3.ガーグルベースン
4.経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニター


解答:4


1.(×)
2.(×)すべて必要な物品ではあるが、最も重要な物品ではない。
3.(×)
4.(○)薬剤による鎮静化を行うと呼吸抑制が起こる可能性があるため、モニターを装着して呼吸状態を観察する必要がある。
第108回(2019年)


問題85:飲酒したい欲求を抑圧した人が、酩酊状態の人の行動を必要以上に非難する防衛機制はどれか。

1.昇華
2.転換
3.合理化
4.反動形成


解答:4


1.(×)欲求を社会的に歓迎される形に変換することを昇華という。
2.(×)転換は置き換えともいい、現実的に叶えることが難しい願望をほかのことで補うことをいう。
3.(×)自分にとって心地悪い葛藤を高めないための行動や考え方、態度や感情のことを合理化という。
4.(〇)自分の欲求を抑えるため、欲求と正反対の行動をとることを反動形成という。飲酒したい欲求を、飲酒ができる人への非難に逆転させている。
第109回(2020年)


問題86:都道府県知事の任命を受けて、精神保健福祉センターで精神障害者や家族の相談を行うのはどれか。

1.ゲートキーパー
2.ピアサポーター
3.精神保健福祉相談員
4.退院後生活環境相談員


解答:3


1.(×)ゲートキーパーは自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図れる人のことである。
2.(×)ピアサポーターは、自らの障害や疾病等の経験を活かしながら、対人援助の現場等で働き、障害や疾病等の中にある仲間(ピア)のために支援やサービスを提供する人のことである。
3.(〇)精神保健福祉相談員とは、都道府県および市町村が、精神保健福祉センター、保健所等の施設に配置し、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、精神障害者及びその家族を訪問して必要な指導を行う職員のことである。
4.(×)退院後生活環境相談員は、医療保護入院者が可能な限り早期に退院できるよう、個々の医療保護入院者の退院支援のための取組において中心的役割を果たす人のことである。
第110回(2021年)


問題87:女性の骨盤腔内器官について腹側から背側への配列で正しいのはどれか。

1.尿道―肛門管―膣
2.膣―尿道―肛門管
3.肛門管―膣―尿道
4.尿道―膣―肛門管
5.膣―肛門管―尿道


解答:4


女性の骨盤腔内器官は、腹側から尿道―膣―肛門管の順である。
1.(✕)
2.(✕)
3.(✕)
4.(〇)
5.(✕)
第106回(2017年)


問題88:皮膚筋炎の皮膚症状はどれか。

1.環状紅斑
2.蝶形紅斑
3.ディスコイド疹
4.ヘリオトロープ疹


解答:4


1.(×)環状紅斑はシェーグレン症候群などでみられる。
2.(×)蝶形紅斑は全身性エリテマトーデスなどでみられる。
3.(×)ディスコイド疹は全身性エリテマトーデスなどでみられる。
4.(〇)皮膚筋炎は自己免疫性の炎症性筋疾患で、ヘリオトロープ疹と呼ばれる上眼瞼の浮腫性かつ紫紅色の特徴的な紅斑がみられる。
第111回(2022年)


問題89:Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。

Aさん(72歳、男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。
既往歴:1年前に前立腺癌のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。
身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。
生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉26点、Barthel〈バーセル〉インデックス65点。Aさんは排尿コントロールについて「脳梗塞(cerebral infarction)になってから、尿意を感じるとがまんできずに大量の尿が漏れてしまう。1日に何回も漏らす」と看護師に話した。Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
1.過活動膀胱
2.腹圧性尿失禁
3.溢流性尿失禁
4.腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症


解答:1


1.(〇)過活動膀胱は脳梗塞の後遺症のひとつであり、尿が溜まる前に排尿筋が収縮して、急に尿意を催し頻尿や失禁を招く状態である。
2.(×)腹圧性尿失禁は、腹圧により尿失禁が起こる状態である。
3.(×)溢流性尿失禁は、排尿障害があり、尿があふれて漏れる状態である。
4.(×)「脳梗塞になってから」とAさんは話しており、前立腺全摘除術の後遺症とは考えにくい。
第109回(2020年)


問題90:法律とその内容の組合せで正しいのはどれか。

1.児童福祉法-受胎調節の実地指導
2.地域保健法-市町村保健センターの設置
3.健康増進法-医療安全支援センターの設置
4.学校保健安全法-特定給食施設における栄養管理


解答:2


1.(×)受胎調節の実地指導は母体保護法が規定している。
2.(○)地域保健法第十八条に「市町村は、市町村保健センターを設置することができる。」と規定されている。
3.(×)医療安全支援センターの設置は医療法により規定されている。
4.(×)特定給食施設における栄養管理は健康増進法に規定されている。
第107回(2018年)


問題91:妻の介護負担を軽減する福祉用具で適切なのはどれか。

Aさん(77歳、男性)は、脳梗塞による左片麻痺があり、右膝の痛みにより立位が困難である。端坐位で殿部をわずかに持ち上げることはできる。妻(77歳)は小柄で、体格差のある夫の移乗の介助に負担を感じている。Aさんのベッドから車椅子への移乗の際、妻の介護負担を軽減する福祉用具で適切なのはどれか。
1.歩行器
2.ベッド柵
3.電動介助リフト
4.トランスファーボード


解答:4


1.(×)立位が困難なため、歩行器の使用によって介護負担を軽減することはできない。
2.(×)ベッド柵を支えにして立つことは困難であり、ベッド柵の使用は介護負担の軽減にならない。
3.(×)端坐位の保持や殿部をわずかに持ち上げることができるため、電動介助リフトの使用は不要である。
4.(○)トランスファーボードとは、ベッドと車椅子の隙間を埋める板状の介護用品で、座位のまま移乗することが可能である。
Aさんは端坐位の保持や殿部をわずかに持ち上げることができるため、トランスファーボードを使用すれば移乗に伴う介護者の負担を軽減できる。
第108回(2019年)


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