「看護師という属性を活かして住宅ローンを組み、現在もバリバリ働きながら返済中」という看護師さんは多いでしょう。
しかし「返済中も定期的に住宅ローン内容を見直している」という人は、少ないと思います。借りる前には熱心に情報収集をするものの、いざ返済が始まるとその勢いはトーンダウン。現在は仕事や家事・育児に追われ、返済のことをゆっくり考える余裕もない、そんな状況ではないでしょうか。
とはいえ、住宅ローンは借りる前よりも借りてからが本番です。少しでも返済をスムーズに終わらせるためにも、今回は住宅ローン返済で知っておきたいポイントを3つ解説します。
現在住宅ローンを返済中の看護師さんは、参考にしてみてください。
返済のポイント1:住宅ローン内容は、借り入れ後も定期的に見直そう
住宅ローン返済でもっとも重要なポイントは、借り入れが始まってからも定期的に内容を見直すことです。
先述したように、住宅ローンは「借りて終わり」ではなく、「借りてからが始まり」です。なぜなら、長い返済期間中に社会情勢や金融機関の金利状況が変わり、今よりもっと条件の良い住宅ローンが販売される可能性はゼロではありません。また、ご家庭の家計やライフプランが変化することもあるでしょう。
10年・20年たてば、世間の状況も家庭内の状況も様変わりします。それに伴い、住宅ローンの内容も適宜見直していけば、よりスムーズに返済を進めていけるはずです。住宅ローンは金額が大きいため、見直したときのメリットは大きいはずです。
では、具体的にどうやって見直しをすればいいのでしょうか。
ここでは、以下3つの見直し方法をご紹介します。
見直し方法1:同一金融期間内での金利タイプの変更
金融機関によっては、金利タイプを変動金利から固定金利に変更できる場合があります。
変動金利はローン返済中に金利が変動するタイプで、固定金利は返済期間を通じて金利が変わらないタイプです。現在変動金利で借りている人は固定金利にすることで、その後の返済計画の見通しを立てやすくなります。
そのため、ライフプランや家計の状況にあわせて変更するのも一つの方法です。
ただし変動金利から固定金利に変動すると、多くの場合は金利が上がり、ローン返済額も増えてしまいます。借り入れから10年以上たち、ローン元本が大幅に減っていれば、利息の負担はそこまでではないかもしれません。場合によっては返済額が急上昇する可能性もあるため、金利タイプの変更はよく検討する必要があります。
見直し方法2:違う金融機関に借り換え
借り換えは、金融機関ごと住宅ローンを見直す方法です。
借り換えによって現在借りている住宅ローンの金利を引き下げできれば、毎月のローン返済額を大幅に軽減できる可能性があります。ここ数年は住宅ローン金利が非常に低下しているため、住宅ローン借り換えに最適なタイミングと言われています。現在借りている住宅ローン金利が高いなと感じている人は、借り換えを検討してみてもいいでしょう。
ただし、借り換えすると金融機関を乗り換えることで諸費用がかかるうえに、再度ローン審査を受ける必要があります。一般的に借り換えの審査は新規借入れより厳しいとも言われており、ハードルは高いです。しかし、借り換えによって利息を大幅に削減できれば毎月の返済額を数千円安くすることも可能です。うまくいけば、一番経済的なメリットを享受できる方法でもあります。
住宅ローンの借り換えで特に経済的メリットがあるのは、以下の条件に当てはまる方と言われています。
・借り換えで金利を1%以上低くできる
・住宅ローン残存年数が10年以上ある
・住宅ローン残高が1,000万円以上
ただ、上記の条件はあくまで一般的な基準にすぎません。
借り換えは金融機関そのものを変更することになり、手間も諸費用もかかります。
住宅ローンに詳しいファイナンシャル・プランナー(FP)など、専門家に相談したうえで慎重に進めましょう。
見直し方法3:【奥の手】金利引き下げ交渉
成功するかどうかわからない、あくまで奥の手である見直し方法が金利の引き下げ交渉です。
引き下げ交渉とは、現在住宅ローンを借りている金融機関で、「金利を引き下げてほしい」と交渉すること。これまで遅延なく返済している方が他行への借り換えを考えている場合、交渉次第では金利の引き下げに応じてもらえる可能性があります。
ただし、一般的に対面窓口がないネット系金融機関では交渉の余地がなく、すべての金融機関で応じてもらえるわけではありません。また、公式に認められている方法でもありません。
金利引き下げ交渉は、あくまでイレギュラーな方法です。借り換えと同様慎重に進める必要があるため、こちらもファイナンシャル・プランナー(FP)などの専門家に相談して行いましょう。
返済のポイント2:契約者サービスを積極的に使おう
住宅ローンの返済生活中には、契約者サービスを積極的に使いましょう。
実は、住宅ローンを提供している金融機関によっては契約者専用のサービスを用意していることがあります。たとえば出産時には期間限定で金利の優遇を受けられたり、団体信用生命保険に病児保育や家事代行のサービスがついていたり。また、各種サービスの料金割引を用意している金融機関もあります。
特に、期間限定で優遇金利が適用されるサービスは、住宅ローンの返済金額を左右します。契約者が申し出なければサービスが適用されないものが多いため、契約者サービスの内容は隅々までチェックしておきましょう。
ただし、契約当時はサービスのことを覚えていたのに、長い返済期間中にサービスのことをすっかり忘れてしまう可能性もあります。そのため、定期的にサービス内容を見直すことが大切です。
ポイント3:返済が苦しいときはまず金融機関に相談
住宅ローン返済中に一番してはいけない行為は、金融機関に無断で返済を遅延することです。
長い返済期間中、家計の状況によっては返済が苦しいときもあるでしょう。配偶者が転職して収入が減ったり、子どもが進学して教育費の負担が増えたり。少しでも苦しいとき、あるいは苦しくなりそうなときは、金融機関にすぐ相談しましょう。
多くの金融機関には、返済相談の窓口が設けられています。場合によっては、金利タイプの変更や返済期間の延長、一定期間だけ元本を据え置きなど、なんらかの対処方法を案内してもらえる可能性もあるのです。
何も言わずに黙って返済を遅延してしまえば、こうした対処方法を取ることすら難しくなります。少しでも不安がある方は、まず金融機関に相談してみてください。また、家計の見直しについては同時にファイナンシャル・プランナー(FP)に相談し、根本的な赤字を改善することも大切です。
住宅ローン返済中も、定期的にFPに相談して内容を見直そう
住宅ローン返済で意識したいポイントは、以下の3つです。
・定期的な見直し
・契約者サービスの活用
・苦しいときは金融機関に即相談
特に重要なのが、定期的な見直しです。
住宅ローンは借りている金額が大きく、返済期間も長いからこそ、見直ししたときに得られるメリットが大きいもの。生命保険を見直すのと同じように、そのときのご家庭の状況にとって適した住宅ローンなのか、定期的に見直しすることが家計の改善につながります。
見直しなんてどうすればいいかわからない、という方は、お金の専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談してみてくださいね。
この記事を書いたのは
服部 椿
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
記事監修:株式会社ファーストプレイス
イラスト:tetekun
Twitter:https://twitter.com/tete_ponyo
バナー素材:イラストAC
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