看護や臨床の世界で関心度が高まるメディカルハーブとアロマセラピー。医薬品には、古来より植物療法として用いられてきた成分を精製したものが多くあります。現代においても自然に近い形で植物を取り入れていくことで、身体への負担の少ない緩やかな働きかけが期待されています。
医療の現場では、補完・代替療法として在宅医療、介護に。また病棟でも緩和ケアの場面などで活用されてきています。
本連載では、メンタル面も肉体的にもハードな仕事をもつナースのみなさんの体調管理に、また心身の不調に合ったハーブ・アロマのセルフケアの活用法についてご紹介します。
普段から身近にあるために、つい忘れがちな自然や植物の恩恵。今回は、植物の恵みについてお伝えするとともに、健康的な身体へ導くハーブ・アロマの働きをご紹介します。
植物からの恩恵
ヒトは従属栄養生物であるため、生きる上で植物からさまざまな恩恵を受けています。植物は光合成によって、ヒトが生命を維持するために欠かせない酸素を出し、 エネルギー産生栄養素である「糖質」「脂質」「タンパク質」をつくります。
また、ビタミンを生合成し、ミネラルを根から吸収します。人間の生命維持に必要な「5大栄養素」と呼ばれる①糖質、②たんぱく質、③脂質、④ビタミン、⑤ミネラル(無機質)、「第6の栄養素」として食物繊維、さらに「第7の栄養素」として注目されているフィトケミカル(植物化学)成分の生合成も行います(図1)。
図1:植物の光合成サイクル
これは植物が、強い紫外線の害や虫などから身を守る生体防御機能のために作りだした物質で、約10,000種類もあるといわれています。代表的なフィトケミカル(植物化学)成分は、アルカロイド、フラボノイド、イオウ化合物、タンニン、カロテノイド、精油などです。