代表・川添のインド視察記の第3弾は、予防医療の現状について報告する。道端で体重測定する商売があるのは、インドならではのもの?
体重測定が商売になるインドという国
デリーのショッピングセンター内には身体測定を行っているエリアがあった。日本なら体重計は単身世帯にも1台あるが、インドでは普及率は低い。そこで、身体測定を商売としている人たちがいるのだ。
ここでは、身長・体重・BMIが1回10ルピー(約20円)、血圧・脈拍も1回10ルピーで測ってもらえる。10分に1名のペースで利用する人がいる。けっこう、いい商売なのだろう。
身体測定に来たアラブの男性は体重140kgの肥満体型。「痩せた方がいいよね、でも、食べてばっかりでさ」と自虐的に言いながら、ポケットからナッツを取り出して私にくれた。20代の女性は、「定期的にここで測っているのよ」と恥ずかしそうに言った。
デリーの観光名所、インド門の前では2ルピー(約4円)で体重計を道端に置いて商売をしている人がいた。
糖尿病患者が増える一方で、予防意識が希薄だとはいえ、健康のバロメーターとして体重などを気にしている人は少なくない現状が見えてきた。
「ワンコイン健診」がインド予防医療の一端を担えるか
世界が注目する経済成長を背景に、数百万人のインド国民が貧困を脱し、快適な生活を手に入れた。だが、生活改善と引き換えに生活習慣病がインドを襲っている。
インドでは日本のような会社の健康診断などもまだ限定的で、もちろん地域の予防医療の仕組みは皆無だ。しかし今後は、健康的な生活、医療費抑制、健康寿命の延長、経済発展のバランスを上手く取っていくことは、インドの国にとって重要な課題である。
インドのヘルスケア最前線を視察して感じたのは、私たちが取り組んでいる「ワンコイン健診」がインドの予防医療の一端を担う可能性があることだった。
もちろん、インドの貨幣価値に合わせた価格設定や現地の看護師などとのパートナーシップなど、課題は山積みだ。それを克服するだけの面白さが、インドという熱気あふれる国にありそうだ。
デリーのショッピングセンター内にある身体測定所