今回から、本連載も第6章「ヘルスケア産業の活性化に向けて」に突入。約6,000人のスタッフを有するオランダの訪問看護ステーション「Buurtzorg」を見学した模様を数回に分けてご紹介します。
自分の目で確かめたい!
オランダの訪問看護を自分の目で確かめたい――そう強く感じた去年の12月。
そんな思いに至ったのは、オランダで訪問看護ステーション「Buurtzorg」を経営するヨスさんの講演を聞いたのがきっかけだ。
Buurtzorgは2006年に設立。現在は6,000人のスタッフ(看護師)を抱えるほど大きな成長を遂げている。
「経営はうまくいっている」と経営者であるヨスさんは言うものの、経営者と現場で働く人間の思いが違うのはよくあることだ。
そこで、どのように経営をしているのか、現場のスタッフはどのように働いているのか、実際に見て確かめたいと考えたのである。話を聞くだけではわからないエッセンスが現場にはあるはずだ。
ちょうどその頃、6月に国際会議でイギリスに行くことが決まっていた。日程を調整すればオランダに行けるかもしれない。そこで、思い切ってBuurtzorgに「ぜひ見学させてほしい!」とメールを送ってみた。すると、1週間後にオッケーと返事が来たのである。
オランダ語はもちろん、英語も自信があるわけではなかったが、現場を見たい一心で単身オランダに乗り込んだのである。
待ち合わせ時間に誰も来ない!?
ここで、オランダについて簡単にご紹介しよう。面積は九州と同じくらいの大きさで、人口は4,000万人程度。貿易で栄えている国である。高齢化は進んでいるものの、保健制度が整っているので、基本的に医療は無料で受けられる。
さて、私が見学させてもらえることになったのは、オランダの首都アムステルダムにあるチーム。ちなみに、Buurtzorgの現場は10人1チームで600チームを有し、アムステルダムだけで20チームある。
見学初日の待ち合わせは朝の8時。事務所には、宿泊しているホテルから20分足らずで到着した。ところが、誰も来ている気配がない。心配になって、隣のカフェの店員に事務所がいつ開くのか質問していた矢先、スタッフらしき女性を発見。ようやく中に入ることができた。
小さなハプニングはあったものの、こうして無事、オランダでの訪問看護ステーション見学がスタートしたのである。
アムステルダムにある事務所。ごく普通のマンションの1階にある