今回は、放射線治療について紹介します。どんな場合に放射線治療を行うのか、主な副作用や患者さんに、伝えなければいけないことは何かを知っておくことが大切です。
がん別の主な副作用
放射線治療は患者にも私たちにも目に見えないので、「いつになったら効果が出てくるの?」とよく聞かれます。そんな意味でもナースは患者の持つ小さな疑問や不安を取り除くことが求められます。
副作用は照射部位、線量によって異なりますが、主ながんとその放射線治療の副作用を記しました。
乳がん
手術・抗がん剤投薬終了後に放射線治療を開始しますが、照射部位が大きいため、皮膚の保護が主な教育内容に含まれます。
多人種国ならではですが、黒人の患者はあまり皮膚の副作用が見られなかったり、白人は治療を始めてからすぐ、皮膚に赤みが出てきたりと、それぞれに応じた指導が必要とされます。
前立腺がん
シードの患者がほとんどなので、家族への被ばく、子供・妊婦との距離を置くことなど指導します。副作用は泌尿系が多い(頻尿、排泄時の痛みなど)ですが、性生活への面の指導も行います。
続いては、肺がんと骨転移についてお話します。
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肺がん
乳がん同様で照射部位が大きいので皮膚の保護を主に指導しますが、同時に咳や息切れが一時期悪化する場合もあるので、そのことを事前に指導します。
酸素吸入器を利用している患者も多くいるので、医院に到着したときに、医院のボンベに切り替えるなどの配慮も必要です。
骨への転移
他のがんに比べ、照射期間が少ないので照射部位への影響は少なく、それに加え、数回の治療でそれまであった痛みが和らぐなどの効果が見られます。
他のがん治療と異なり、放射線治療のほとんどは外来で行われます。第1回で書いたように、4~7週間の治療期間、ナースは毎日患者を診られる機会があるので、どんなに些細なものでも体の変化や新しい症状を常にナースに報告するように指導します。
例えば頭頚部がんや、甲状腺がんの治療の場合、早くからのどや口腔の痛みが現れますが、その時点で痛み止めを変更したり、食べ物が喉を通りにくくなったときの対処法など、実際に起こる前から何度も指導したりもします。早めの処置・手当てがその後の治療のコンプライアンスや結果に結びついてくる場合も多くあります。
抗がん剤の副作用を処置するのと同じように、ナースが先に立ち、患者・家族とコミュニケーションをとり、サポートしていくことを求められています。
※次回は、臨床試験とナースの役割について紹介します。