500円で健康診査が受けられる「ワンコイン健診」で注目を浴びるケアプロ。同社が、3.11の被災地支援の経験から必要性を痛感して立ち上げた、訪問看護ステーションの奮闘記を連載します。第1章は「訪問看護起業前夜」です。
必要なのは若手の看護師
私たちは、平間や岩本(現ケアプロ訪問看護ステーション東京所長)を中心に、24時間365日対応の訪問看護ステーションを増やしていくためにどうしたらいいかを考えた。
その結果、3つのポイントがあることがわかった。
1つめは、新卒看護師向けの「卒後訪問看護研修プログラム」を作ること。
2つめは、事業所の規模を「看護師10人チーム」を基本とすること。
3つめは、「独立開業支援プログラム」を作ること。
今まで新卒や新人の看護師が訪問看護をすることは無理だと言われることが多かった。しかし、土日や夜間も運営するためには、独身で体力のある若手の看護師がチームの中に一定数は必要である。大学病院なども若手がいなければ、24時間365日対応はできない。しかし、訪問看護ステーションの多くは、平均年齢が40歳以上のところが多い。
そして、新卒看護師などの新人看護師はベテラン看護師と違って経験は浅いため、「知識」、「技術」、「コミュニケーション力」、「判断力」などをしっかり教育するプログラムが必要である。
また、事業所規模が「5人未満の小規模」の訪問看護ステーションが全国平均61%で、規模が小さいほど赤字傾向が強く、夜間対応が困難で、事務員を雇用できないため看護師が何でもやらなければいけない。そのため、看護師一人一人の夜間対応の負担を軽減し、経営を安定させるために、看護師10人で1チームを基本とすることが重要である。
ただ、1つの事業所を10人としても1年間に看取ることが出来るのは、多くても500人と考えると、看取難民30万人を救うためには、単純計算でも30万人÷500人/チーム=600チームを日本全国に展開していく必要がある。
これはもう事業所が増えていくことをじっと待っていてもダメだ。増えないならば作っていくしかない、ケアプロが独立開業を志望する看護師を集め、支援していくしかない。
新卒や臨床経験が数年の新人でも、訪問看護をやりたい看護師はたくさんいるはずだ。彼らを訪問看護業界に流入させ、しっかり教育することで24時間365日体制を実現し、10人チームで経営を安定化させ、そのモデルを多店舗展開していく。そんな独立開業支援プログラムをつくることで、訪問看護の供給体制システムを変革し、看取難民を一人でも救っていくのだ。
※次回は、ケアプロ訪問看護ステーションでの働き方について、水曜配信です