もともと周産期のリラクゼーションなどを目的に、産婦人科領域では用手的ケアによる介入が精力的に行われています。中でもリフレクソロジーは、心身のアンバランスを把握する有効な手法として挙げることができます。
リラックスを求める意識が高い産婦人科は介入がしやすい領域!
アロマセラピーなど、精神的なリラックスを目的としたケアに対する助産師の意識が高いこともあり、産婦人科ではリフレクソロジーの介入を行いやすい環境にあります。
また、リラックスを得るだけでなく心身のアンバランスを把握する手段でもあるリフレクソロジーは、足を観察して情報を得ることで、子宮などの内部臓器や器官を実際に触ったり、観察したりできなくても、身体の状態を推測することができます。その点からも産婦人科系の疾患において、非常に有効な統合医療ツールだと考えます。
リフレクソロジーを実践するにあたって、大切なことはポイントだけをみるのではなく、足全体をみて「変だな」「アンバランスだな」という点に気づくことです。
産婦人科領域だからといって、そのエリアだけをみていては、患者さんが抱いている強い不安に気づくことなく、重大な点を見逃してしまうでしょう。疾患による痛みだけを緩和しても、ほかのストレスや痛みを軽減できなければ、痛みを解消できないかもしれません。逆に、その他の痛みを軽減することで、疾患による痛みを緩和することにつながります。
※続いては、「骨盤腔内(子宮)の異常所見はここをみる」です。
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産婦人科領域の所見に役立つ反射区・反射点
両足の踵や内くるぶしの下、母趾あたりには骨盤腔内やホルモンバランスに関連するエリアがあります。これらを観察することで、産婦人科系の所見をある程度把握することが可能となります。
【骨盤腔内反射区】
骨盤腔内反射区となる踵では、骨盤内の状況をみることができます。例えば、踵にしこりがある場合は、子宮筋腫の可能性があります。両足を合わせた状態が骨盤腔内の全体と重なるので、しこりができている場所と同じ位置にあたる子宮内に筋腫があると考えます。踵にしこりのある数例でエコー検査を実施したところ、ほとんどのケースで筋腫が同じ位置に認められました。
また、踵の状態、柔らかさや硬さは子宮内膜の状態を反映しています。踵の縁が硬い場合は、やはり子宮内膜が硬くなっていることも確認されています。もし、患者さんにこのような徴候がみられたら、一度受診を勧めてみてください。
【子宮反射点】
人さし指を内くるぶしに置き、薬指を踵の位置に置いたときに、中指が当たる場所が子宮の反射点になります。通常はこの点が尖ったようになっていますが、妊娠すると皮内注射をしたように膨れてきます。
このポイントが緊満になると出産となり、出産直後に空洞になったようにペコペコした感じになります。そして、子宮底の下がりとともに消失していきます。
分娩室で足のケアを行う際には、こうしたポイントの変化を理解してケアをしていくとよいでしょう。なお、外くるぶし下は卵巣の反射点です。
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