転職のきっかけは、今の職場に不満や物足りなさを感じ、「今よりもっと条件の良い職場で働きたい」「やりがいのある仕事をしたい」と考えることではないでしょうか。
しかし、「条件の良い職場」「やりがい」と言ってもその基準は人それぞれで、他人にとっての良い職場が、あなたにとってそうだとは限りません。転職を成功させるコツは、転職の目的を明確にして、希望条件を自分軸で考えることです。
この記事では、理想の職場を見つけるための方法や、職場探しで迷わないためのコツについて解説します。
あなたにとって「理想の職場」とは?
転職で大切なことは、「あなたにとっての理想の職場」を見つけ出すことです。評判が良いから、ほかの人に勧められたから…といった理由で転職先を決めてしまうと、「自分の理想とは違った」と後悔することにつながります。
まずは、「なぜ転職したいのか?(転職の目的・動機)」と、「どんな職場なら長く働けそうか?(理想の条件)」をじっくり考えることから始めましょう。
転職の目的を考えよう
転職で失敗する要因のひとつに、「転職の目的」が曖昧であるために、自分に合った職場を見つけ出せないことが挙げられます。「なぜ転職するのか?」という問いは、転職活動の軸となるものです。軸がぶれると、転職先を探すのに迷いが生じます。
転職によって何を実現し、何を手に入れたいのかをじっくりと考え、納得のいく答えを出しましょう。
希望条件を考えよう
転職の目的が明確になったら、次は「希望条件」について考えてみましょう。
希望条件とは、転職先を探すときの基準となるものです。転職によって何かを成し遂げたい、仕事へのモチベーションを上げたいという方は、希望条件に沿った職場探しをすることが重要です。
転職先に求める「希望条件」「譲れない条件」を整理しよう!
初めての転職活動で、「何から手を付けたらいいかわからない」「いろんな求人があって迷ってしまう」という方は、まずは転職先に求める条件の整理から始めてみましょう。
希望条件を具体的に書き出す
おすすめの方法は、希望条件をいくつか書き出すことです。「教育体制が充実している」「月給は◯◯万円以上」「院内託児所あり」など、希望条件をなるべく具体的に書いて可視化します。この「可視化」が重要で、ポストイットやノートなど何でも構いませんので、頭の中にある希望や理想をとにかく書き出しましょう。書くことで思考が整理され、自分の理想とする働き方や希望条件が明確になってくるはずです。
希望条件に優先順位を付ける
希望条件を思いつくままに書き出したら、次はそれらに順位をつけます。「これだけは絶対にゆずれない!」という条件を選び出し、絞り込んでいく作業です。このとき、「転職の目的」からズレないように注意しましょう。
さらに、「ゆずれない条件」と「妥協する点」の線引きをどこにするか決めておくと、転職先を探すときのひとつの判断基準となります。
例えば、「今は仕事と子育てとの両立が最優先(ゆずれない条件)だから、年収は多少下がっても仕方ない(妥協点)。ただ、年収が◯◯万円以下の職場は候補から外す(線引き)」といった具合です。
転職活動ではここをチェック!転職の目的・条件別チェックポイント
次に、「求人情報の見方」「職場見学でチェックするポイント」について理解しておきましょう。このポイントを押さえることで、自分に合った職場とそうでない職場の見極めができるようになります。
給与・福利厚生などの待遇面
看護師の給与は、女性の職業としては高いほうだと言われていますが、男女全体・職業全体で見ると決して高給ではありません。「残業や夜勤がなければ安月給」「心身ともにハードな仕事なのに、それに見合った給与をもらえていない」という声も聞かれます。
給与アップを目的に転職する際のポイントは、「基本給の高い職場を探すこと」です。併せて、年収・賞与が今の職場より高いかどうかも比較してみましょう。「仕事内容を適切に評価してもらいたい!」という方は、能力や実績が反映される給与基準(職能給や業績給)を採用しているかどうかも重要なポイントです。また、パートでも条件を満たせば健康保険や厚生年金に加入できるため、福利厚生も確認しておきましょう。
職場環境
人間関係の悩みで転職を考える方も少なくありません。職場の雰囲気や人間関係の良し悪しは仕事に大きく影響します。人間関係のストレスで心身に不調をきたすこともあるため、職場見学は必ず行い、働いているスタッフの様子や雰囲気を確認するようにしましょう。
また、トップの人柄や考え方が職場の雰囲気に影響していることも多いため、職場見学の際は看護部のトップや現場管理者と言葉を交わし、どんな人が現場を統括しているのか知ることも大切です。可能であれば、平均残業時間・定着率・離職率も確認しておきましょう。さらに、ICT化がどの程度進んでいるか、医療設備は整っているか、人員配置は適切かどうかも大事なチェックポイントです。これらが整っているかどうかは、仕事のモチベーションや働きやすさに大きく影響します。
業務内容
仕事のやりがいやスキルアップを目的に転職する方は、具体的な業務内容を確認し、自分の希望する仕事ができるかどうかチェックしましょう。看護と一口にいっても、病院、クリニック、介護施設など転職先によっては業務範囲が異なることも考えられます。一日の流れや必要とされるスキルについても確認が必要です。
キャリアアップ
「認定看護師の資格を取りたい」「看護管理者を目指したい」など、キャリアアップを目的に転職する方は、研修制度や資格取得に対するサポート体制が整っているか確認しましょう。
すでに資格を持っている方や、以前の職場で管理職の経験がある方は、自身のキャリアやスキルを活かせる職場であるか、昇進のチャンスはあるかをチェックすることも大切です。
仕事と子育ての両立
女性看護師の場合、結婚や出産などのライフイベントは、「仕事を続けるかどうか」の判断を迫られる大きな出来事です。転職時は独身でも、将来のことを考えて育児休業の期間や取得率、ママさん看護師が何人くらい働いているか、託児所があるかなどを確認しておくと良いでしょう。
「条件を100%満たす職場はない」と割り切ることも大切
いろいろな求人を見ていると、「もっと条件の良い職場が見つかるのでは?」と考えて、次から次へと目移りしてしまう…という方は多いと思います。しかし、より多くの条件を満たすことが目的になってしまうと、本来の「転職する目的」が曖昧になり、ゴールを見失うことになります。
希望条件をすべて満たす職場というのは、実際のところほとんどありません。優先順位の高い条件に焦点を絞って探したほうが効率的ですし、転職後の満足度も上ります。職場探しで悩んだり迷ったりしたときは、「転職する目的」「最優先すべき条件」に立ち戻り、軌道修正することが大切です。
転職の目的・優先順位を明確にしておこう
転職を成功させるコツは、転職の目的を明確にすること、希望条件の優先順位をしっかりつけることの2点です。ここさえ押さえておけば、転職後に後悔することを極力避けられるでしょう。「なぜ転職するのか」を見失うことなく、自分の理想に合った、働きやすい職場を見つけてください。