ケアプロ在宅看護事業初の支店、足立区島根事業所を任された所長・落合実。開拓者のごとく、病院等へ営業をかけて地域に潜在する利用者様の掘り起こしに挑んでいる。そんな所長・落合の体験をご紹介しよう。
「自宅で死にたい」と言っていた父
今年3月に開設した足立区島根事業所は、どこの医療法人とも結びつきのない地域でのスタートだった。所長・落合は日々営業に走り回り、合間を縫ってお付き合いの始まった利用者様のお宅を訪問している。
ある日、中年女性から電話があった。胃がん末期の父は自宅で療養していたが急変したために入院となったという。
「父は今やせん妄状態で意識もはっきりしませんが、昔からつねづね『自宅で死にたい』と言ってました」と話し始めた。
父は母と二人暮らし。高齢の母に介護はできない。女性は3人娘の一人で、娘たちは「父を自宅へ帰したい、父の望みを叶えたい」と考えていた。
しかし、それぞれ都内で家庭や仕事を持ち、在宅療養を支えるマンパワーとしては不十分だ。そこで、自宅で看取るために訪問看護のプロに入ってもらい、父を連れて帰ろうというのだ。
なぜケアプロを選んだのかを尋ねると、「『24時間対応の訪問看護ステーション』でインターネット検索したら、ケアプロがヒットした」という。そこで落合が事情を詳しく聴き取るために、女性の両親が住む家を訪問したのである。
実費でもいい、訪問看護をお願いします!
在宅での看取りのためにケアプロにお任せいただけるならば、24時間365日駆け付けることができる、送迎もOK、困った時は電話相談も受けるとお伝えした。娘3人にとって願ったり叶ったりのことである。
ただし、自宅で看取るために一度退院させてしまうと、再び病院のベッドを確保することは難しい。女性は「実費でいいから、訪問看護をお願いしたい!」と言うほど、ケアプロ介入には乗り気だった。なんとか力になりたいと思ったものの、落合は、実費での訪問看護ではあまりに費用がかかりすぎると心配していた。
そこで落合は、ベッドを確保したまま「外泊」として家へ帰ることを提案した。医療保険を使い「外泊支援」として訪問看護を受けるサービスだ。入院費はかかるが、いざという時のための安心料と考えればよい。
「外泊支援サービスをご提案したことで、実現に向け一気に話が進みました。ケアプロが訪問看護を担い、娘さんたちは交代で1~2日休みをとって看護してみよう、ということになったのです」
こうして、「とりあえず、やってみよう!」と、娘たちは立ち上がったのである。